広がる森永ラムネの世界 ハイチュウやプロテインにも
森永製菓が「大粒ラムネ」のヒットを受けて、次々とコラボ商品を発売している。4月にコンビニ限定で売り出したアイスバー「ラムネバー」は早速ヒット。5月に発売した「ラムネハイチュウ」「マッスルフィットプロテイン 森永ラムネ味」も人気だ。
「ラムネバー」は、ラムネの粒が入ったソーダクリームを、さらにラムネ味の氷で包んだアイスバー(棒付きのアイスキャンディー)だ。フルーツ味もセットになったマルチパックの「ラムネバー」(10本入り)は10年以上前からある定番商品だが、単体での発売は今回が初めてだ。
森永製菓では当初、販売期間を2カ月と想定していたが、約1カ月後には予定していた数量を全て売り切った。店頭から姿を消したことを受けて、ツイッターなどのSNS(交流サイト)上には完売を嘆く声が相次いだ。
3大コンビニが取り扱い決定
森永製菓がラムネバーの新製品を発売した背景には、同社が18年に発売した「大粒ラムネ」の大ヒットがある。おなじみのボトル容器に入った「森永ラムネ」の粒を約1.5倍に大型化したもので、こちらは発売初年度の年間販売計画数量を1カ月足らずで売り切った。森永製菓としては、大粒ラムネのヒットを受けて二匹目のどじょうを狙ったわけだ。
その狙いはズバリ的中。コンビニ限定ラムネバーの売り上げは計画比110%と好調で、4月にコンビニで新発売されたアイス商品の中でトップとなった。新型コロナウイルス感染症拡大で客数が減少するなか、発売初週の販売額が計画比で130%を超えたコンビニチェーンもあったという。
ラムネバーの販路をコンビニに限定した理由について、冷菓マーケティング部の船田真人氏は「ラムネバーは大粒ラムネの主な購入層と同じ20~40代男性をターゲットとしている。この層がよく利用するのがコンビニだった」と説明する。コンビニならではの、購入した商品をその場で食べる"即食"の傾向も、好調な売り上げを後押しした。
「コンビニの冷菓の棚は限られており、売り込んでも置いてもらえないことが多いが、この製品は違った」と船田氏。商品に競争力があると踏んだコンビニ大手3社(セブン-イレブン、ローソン、ファミリーマート)がこぞって取り扱いを決定。新ブランドで発売するのではなく、抜群の知名度を誇る「森永ラムネ」ブランドで売り込む作戦は大成功した。
ハイチュウやプロテインでもコラボ商品
森永製菓がラムネ味の商品を多面的に展開していく戦略の第一の矢がラムネバーだった。5月には二の矢、三の矢を市場へ放っている。
1つが5月12日発売のチューイングキャンディー「ハイチュウ」とのコラボ商品「ラムネハイチュウ」だ。森永ラムネと並ぶロングセラーであるハイチュウは1975年に登場し、現在に至るまでに160種類以上のフレーバーが登場している。01年の2月に一度コラボしたことがあり、以来19年ぶりの復活となった。
菓子第二マーケティング部の江原敦子氏は「ハイチュウの中にラムネの粒を入れたのが特徴。ハイチュウファンにもラムネの食感を楽しんでもらいたいと考えた」と話す。実際、ハイチュウのもちもちした食感に、ラムネのカリッとした食感が面白いといった声が同社に寄せられているという。主に30~40代の男女や親子が買い求めているとのことだ。
もう1つのコラボ商品が、5月25日発売の粉末プロテイン「マッスルフィットプロテイン 森永ラムネ味」である。同社のプロテインが社内ブランドと組むのは、19年12月発売の「チョコボールプロテイン いちご味」以来となる。
なぜ、ラムネ味の粉末プロテインなのか。江原氏によれば「粉末プロテインの売り上げは増加傾向にあるものの、味をイメージできないといった理由から購入に踏み切れない人が一定数いる。その点、ラムネの味なら大半の人が知っている」とのこと。森永ラムネのボトルのイラストをパッケージに描いているのも、ラムネ味をイメージしやすくするためだ。
日本マクドナルドからのオファーで森永ラムネ味のマックシェイクが5月20日に発売されたときは、シェイクと森永ラムネのボトルを一緒に写真を撮ってSNSに投稿する人が相次いだ。森永製菓のラムネ味推しはまだまだ続き、20年9月以降も新たなラムネ味の製品を投入するという。
(ライター 堀井塚高)
[日経クロストレンド 2020年9月7日の記事を再構成]
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