尿漏れにレーザー治療が登場 血流改善で組織若返りひそかな悩み尿トラブル(下)

日経ヘルス

2020/10/5
写真はイメージ=PIXTA
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尿トラブル対策として、前回「スクワットに青竹踏み 簡単体操が尿漏れ・頻尿に効果」で、青竹踏みをはじめ、スクワットや骨盤底筋体操などを紹介した。今回は薬による治療や手術に加え、最新のレーザー治療について解説する。

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尿漏れや頻尿の治療は、行動療法、薬物治療、手術が3本柱。まず前回紹介した骨盤底筋体操などの行動療法を行い、必要に応じて薬物治療をプラスする。それでも改善しない場合は手術を検討するのが一般的な流れだ。

薬物治療は、尿意切迫感や頻尿のある過活動膀胱に対して、抗コリン薬やβ3アドレナリン受容体作動薬などが用いられる。「漢方薬も有効。女性によく処方するのは牛車腎気丸(ごしゃじんきがん)で、頻尿や冷え、しびれに効く。市販薬もあるので試してみるのもいい」と信州大学医学部泌尿器科講師の皆川倫範さんはアドバイスする。

骨盤底筋体操などが効かない腹圧性尿失禁には、ぐらつく尿道をテープで支える「尿道スリング手術」が選択肢になる。テープを下腹部に留める「TVT」と、足の付け根の膜に固定する「TOT」がある。「当院ではTOTが圧倒的に多い。手術時間は30分~1時間程度で、日帰り手術を行っている」と、神奈川歯科大学教授/よこすか女性泌尿器科・泌尿器科クリニック院長の奥井伸雄さんは説明する。

(図:三弓素青)

ただし尿道スリング手術には問題もあるという。「人工テープ(メッシュ)を使うので、一部の患者さんでは術後に痛みが出ることがある」(奥井さん)。そこで副作用なく安全にできる最新治療として注目されているのが、エルビウムYAG(ヤグ)レーザーを使ったレーザー治療だという。

(図:三弓素青、グラフ:増田真一)

膣や尿道内にレーザーを照射し、粘膜組織をセ氏65度にまで温める。1回20分程度の治療を1~3回行うと、血流が改善。組織でのコラーゲン産生が促進されて、薄くなっていた膣や尿道の組織がふっくらしてくるという。奥井さんのところでは、3年前にこれを導入。腹圧性尿失禁の改善効果が高く、GSM(閉経関連性器泌尿器症候群)にも効くという。「カナダでは昨年、GSMの治療器具として承認された。日本で導入している医療機関はまだ多くないが、今後、普及するだろう」(奥井さん)

皆川倫範さん
信州大学医学部泌尿器科講師。2002年、信州大学医学部卒業。ベルギー・アントワープ大学留学などを経て2015年から現職。排尿障害、泌尿器科がんなどの研究・診療に当たる。日本泌尿器科学会泌尿器科指導医。
奥井伸雄さん
神奈川歯科大学教授/よこすか女性泌尿器科・泌尿器科クリニック(神奈川県横須賀市)院長。東京大学大学院修了。米国ハーバード大学臨床留学などを経て、よこすか女性泌尿器科・泌尿器科クリニックを開設。毎年、約1000件の尿失禁手術を行う

(ライター 佐田節子、構成 堀田恵美)

[日経ヘルス2020年4月号の記事を再構成]

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