『私たちはどうかしている』 犯人はドラマ独自の結末

浜辺美波と横浜流星のダブル主演で、安藤なつみの同名マンガをドラマ化した日本テレビの『私たちはどうかしている』。お仕事系のドラマが多い水曜22時の枠だが、今期はテイストの異なる作品が登場。和菓子の世界を舞台にしたミステリーであり、抗いがたく引かれ合う男女の気持ちが描かれる。プロデューサーの鈴間広枝氏にドラマの魅力を聞いた。

『私たちはどうかしている』 老舗和菓子屋の従業員の娘・七桜(なお、浜辺=写真右)と、当主の息子・椿(横浜=同左)はお互いが初恋の相手。しかし、椿の父が殺害された事件で、椿の証言により七桜の母が容疑者として逮捕されてしまう。そんな2人が15年後に再会。七桜は母の才能を受け継ぎ、人の心をつかむ和菓子を作る。椿は和菓子や店に強い思いがあるゆえ、傍若無人に見えるキャラクター(日本テレビ系/水曜22時)

原作になりそうなものを読みあさるなか、この作品に出合った。「最初に和服のビジュアルの表紙に心引かれて。単純に恋愛要素だけだと、“活動的な大人の女性”という水曜22時枠のコアターゲットには合わないんですが、ミステリーもしっかり描かれていて、これは面白いと思いました。原作はまだ完結していないので『犯人は誰?』みたいなところも気になりましたし、ぜひドラマ化したくて企画を出しました」(鈴間氏、以下同)

主演の2人とも「マンガの画も含めて、イメージにぴったり」という理由でオファーしたそう。鈴間氏は『あなたの番です』(19年)を手掛けており、横浜との仕事は2回目となる。「浜辺さんとは以前からご一緒してみたいと思っていました。絶対的な清潔感があって、ぶれない強さを持ち合わせている。原作の七桜は21歳の設定なんですが、安藤先生も年齢が近い方だとうれしいというご意向だったので、今年20歳になる浜辺さんは適役でした。椿は、見た目は冷たそうだけど中身は熱い人なので、そこが横浜さんに合うと思いました」

共演は、見習い職人役に高杉真宙、椿のいいなずけ役に岸井ゆきのら。椿の母である女将を、観月ありさが演じている。「古典的な嫁いびりが出てきたりして、お話自体はドロドロしているんです。でも、キャラクターを突飛(とっぴ)なイロモノにするのではなく、人間として描くために、きちんとしたお芝居の力を持つ方たちに出演をオファーしました」

脚本は衛藤凛。鈴間氏とは『サバイバル・ウェディング』(18年)以来、2度目のタッグとなる。「衛藤さんはお子さんもいる主婦でもあって、すごくドラマ好きな方。変に玄人っぽくなくて、いい意味で視聴者と近い目線を持っていらっしゃる。恋愛の部分では『ここで“キャー”ってなりたい!』みたいなことを、受け手に近い感覚で書いていただけるところがいいなと思っています」

演出面では原作にならい“壁ドン”も頻出するが、押しつけがましくなく、あざとすぎないところを目指しているとのこと。クランクインしてすぐに新型コロナウイルスの影響で撮影が一旦中止になった。和菓子をきれいに撮る点や、カットを重ねることにもこだわりたかったが、撮影時間の短縮で諦める部分も出てきたという。「それは仕方ないので、許される範囲で頑張っています。セットは、舞台となる金沢で見てきたものを美術さんが生かしてくれていたりして、アイキャッチとして、美しい映像を撮ることは意識しています」

七桜に逆境が押し寄せる怒とうの展開で、ミステリーと共に、運命に抗って人を好きになる気持ちが描かれる。マンガより先にドラマのほうが最終回を迎えるため、「ドラマ独自の結末になります。誰が犯人かを予想しながら楽しんでいただければと思います」

(日経エンタテインメント!9月号の記事を再構成 文/松下光恵)

[日経MJ2020年9月11日付]

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