日経エンタテインメント!

細やかなしぐさこそ自分が出せる

(写真:鈴木ゴータ)

「また、常に周囲を冷静に見ている性格でもある。話をしているなかで、すぐに妄想に浸りがちな浅草を観察することで、同じ視点になれるときがあるんです。そこは(英勉)監督からも『大事なポイント』だとアドバイスをもらいましたが、ツバメちゃんの観察力の鋭さと、親譲りの演技力がなせる業だと理解しています。

ただ、そうした特徴や変化を派手な動きで見せるタイプのキャラクターではないんです。私も乃木坂46に入ったばかりのときは、大きなステージで遠くのお客さんからも見えるようにとにかく大きく動くことばかり意識していたけど、活動を続けていくなかで、細やかなしぐさやマイクの持ち方といった1つひとつの動きでこそ、自分らしさを出せると気付きました。だから同じように、ツバメちゃんらしさの2つのモードの切り替えや観察力の鋭さは、できるだけさりげなく演じたつもりです」

山下は昨年『神酒クリニックで乾杯を』(1~3月)、『電影少女 -VIDEO GIRL MAI 2019-』(4~6月)と続けてドラマに出演。乃木坂46から離れ、実力派俳優たちに囲まれて芝居をするなかで、「乃木坂46の一員でありながら、幅を広げていきたい」と思うようになったという。『映像研』の撮影で、その気持ちはさらに強くなった。

「昨年から今年にかけては、個人と乃木坂46としてのお仕事が半々くらいでした。自分としては外で新しい体験をすると、モチベーションが高まります。それがあるからこそ、頑張ることができるし、グループとしての活動も楽しいと思えるんです。乃木坂46ではグループ全体が上昇していってほしい気持ちが強くて、そのために私ができることをしたい。今後も個人とグループでの活動を、バランスよくできればいいなと思っています。

今はとにかくお芝居が楽しいんですが、初めてそう思えたのが『神酒クリニックで乾杯を』でした。作品を一緒に作り上げていく過程からワクワクするという経験が初めてで。きっと『現場』が好きなんだと思います。

今回の撮影では、飛鳥さんと梅とは長い時間一緒にいたので、『休憩時間も台本を読んでいるな』とか、今まで気付かなかったパーソナルな一面まで知ることができました。おかげで、距離が縮まって、撮影を乗り切ることができたんだと思います。『映像研』も、飛鳥さんと梅と一緒に作り上げた感があって、お芝居が楽しいという思いはますます強まりました。そういう気持ちを含めて、今後の活動も頑張っていきたいと思っています」

『映像研には手を出すな!』
 原作は『月刊!スピリッツ』で連載中の大童澄瞳によるコミック。超人見知りだが天才監督の才能を持つ浅草みどり(齋藤飛鳥)、カリスマ読者モデルでアニメーターの水崎ツバメ(山下美月)、金儲けが好きなプロデューサー金森さやか(梅澤美波)の3人が出会い、浅草が思い描く「最強の世界」をアニメで表現するために“映像研”を立ち上げる。ドラマは4月から全6話を放映(MBS/TBS系)。映画は9月25日公開(東宝映像事業部配給)

(ライター 大貫真之介)

[日経エンタテインメント! 2020年6月号の記事を再構成]