街に賑やかに時を告げる 歴史刻むからくり時計10選

山車からくり、多くが愛知に

「からくり」という言葉は江戸時代に普及し、時計、織機など機械装置全般を指すようになった。からくり人形の不思議なしぐさは機械への素朴な憧れを庶民に植え付け、日本人のものづくり精神の礎を築いたとされる。

時計が希少だった当時、庶民にとってからくりといえば、山車にからくり人形を載せた「山車からくり」や舞台からくりを指した。山車からくり祭りは80カ所ほど残るが、多くが旧尾張藩が治めた今の愛知県に集中している。

きっかけは徳川家康の三周忌として17世紀に始まった「名古屋東照宮祭」。徳川御三家の筆頭だった尾張藩の歴代当主はこの祭りを奨励。山車からくりは祭り最大の呼び物だったという。

「庶民が『おらが町にも!』として始まったのが、今の愛知県犬山市や半田市をはじめとする山車からくり祭り」と名古屋大学の末松良一名誉教授は説明する。トヨタ自動車など日本を代表するメーカーが愛知周辺に多く立地するのも、からくりの伝統と無縁ではない。

■ランキングの見方 からくり時計の名前(所在地)。ポイントは11人の専門家の評価を点数化。(1)からくりが動く時間帯(2)悪天候時の稼働の有無(3)連絡先。写真は1位棗田将吾、2位三浦秀行撮影、ほかは所有者または管理者が提供。

■調査の方法 時計メーカーの協力により国内の主要な屋外型からくり時計を25カ所リストアップ。「ランドマークとしての存在感」「からくりの世界観の充実度」「メカとしての完成度」の3つの観点から専門家が1位から10位までを順位付けし、編集部で集計した。

■今週の専門家 ▽石川富弥(石川商事代表)▽川村文乃(正美堂代表)▽岸川研一(乃村工芸社・チーフデザイナー)▽河野まゆ子(JTB総合研究所・地域戦略部長)▽坂本典生(夢童アート・からくりモニュメント制作担当)▽宿野秀晴(メディコ・テック代表)▽末松良一(名古屋大学名誉教授)▽杉井俊夫(杉井デザイン代表)▽竹内秀一(日本修学旅行協会理事長)▽安田清之(ヤスダモデル社長)▽横倉和子(日本旅行総研研究員)=敬称略、五十音順

(生活情報部 木ノ内敏久)

[NIKKEIプラス1 2020年8月29日付]


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