火星、木星間の準惑星 地底に塩水、氷火山も活動か

日経ナショナル ジオグラフィック社

また、ケレスは誕生から現在に至るまでのある一定期間に、生命の存在に必要な条件を全て備えていたことも、最新の研究で明らかになった。その条件とは、液体の水、エネルギー、炭素を持つ有機分子で、これらすべてがそろっていたとされる天体の数は、日に日に増えている。ケレスは、天体の衝突によって生じた熱のおかげで、短期間、生命が存在できる星になっていたかもしれないと、科学者たちは考えている。ただし、実際に生命がいたかどうかはまた別の話だ。

最接近

ドーン探査機は、15年から18年までケレスを周回した。その最後の1年間で収集したデータの分析結果をまとめた7本の論文が、20年8月10日付で3つの学術誌「Nature Astronomy」「Nature Communications」「Nature Geoscience」に発表された。探査計画のグランドフィナーレとして、ドーンはケレスの地表から35キロの距離まで接近して、1ピクセルにつき3メートルという高解像度で地表を撮影した。これは、400メートル以上先にあるゴルフボールを撮影できるほどの鮮明さだ。

15年にドーンが発見したオッカトル・クレーターの明るい点は、その後間もなく塩でできていることが判明した。地中から塩水が浸出して堆積したものと思われたが、その塩水がどこから来たのかは謎だった。

オッカトル・クレーターは、およそ2000万年前に天体が衝突してできたと考えられている。その衝撃で大量の熱が発生し、氷の世界は沸き立つ塩水風呂と化した。だが、コンピューターシミュレーションによると、衝撃の熱は500万年のうちにほとんどが失われたという。

2018年7月26日に、ドーン探査機が高度152キロから撮影したオッカトル・クレーターの中の亀裂(IMAGE BY NASA/JPL-CALTECH/UCLA/MPS/DLR/IDA)

今ある塩の堆積物の一部は、過去400万年以内に形成されていることから、衝撃によってできたのではなく、はるか昔から地下に存在していた液体の塩水が外に出てきた可能性が高い。

今回、ケレスの重力調査によってその塩水の出所が判明した。惑星の重力は、場所によって変化する。これは、地形や地殻の厚さの違いによるものだ。この変化を、研究者たちはドーンの飛行速度の微妙な変化を計測することによって明らかにした。

このデータをケレスの地形に重ね合わせてみると、オッカトルの地下が周囲の地殻と比較して薄くなっていることがわかった。クレーターの下に、巨大なマーブルチョコレートのような形の大小2つの塩水貯留層が存在しているようだった。大きな方は直径420キロで、クレーターの真下、深さ48キロの地殻の底にあり、小さい方は直径193キロで、クレーターの南西、深さ約20キロの地下にある。

「ドリルで穴を掘れば、帯水層に到達し、非常に冷たい塩水が湧き出すかもしれません」と、米セントルイス・ワシントン大学の惑星科学者ビル・マッキノン氏は言う。同氏は、今回の研究には関わっていない。

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