DX時代の「エリート教育」 共感と創造で世界を変える『新・エリート教育』著者 竹村詠美さんに聞く

本来、教育の方法は子どもの数だけあるはずだ。個々の個性や能力に合わせる多様性が重要になる。竹村さんは「Equality(平等)」よりも「Equity(公平)」の方が重要だというメッセージを発信する。
デザインの課題にチャレンジする子どもたち

今の時代、保護者はどうしてもあふれる情報に振り回されがちです。「早期教育はいつから取り組むべきか」「プログラミングは必須だろうか」「大学までに英検2級は取らせたい」といった具合です。「やんなきゃ」を積み上げ方式でやるわけですね。これを足していくと、子どもも親も、パンクする。百害あって一利なし、です。その子にあった教育があるはずですから、多くの中から有効な方法を取捨選択する。この考え方は、最近注目されるようになってきた教育の「個別化」に通じます。

私の2人の子どもは英語と日本語のバイリンガルです。一時期通っていたシンガポールの小学校では、英語の授業が6~10段階に分かれていました。習熟度にあわせて選べるわけです。しかし、日本の学校では、同学年は全員同じ授業を受ける。小学校で1からABCを教えるのですが、バイリンガルの子どもにとってはモチベーションがまったく上がらない。習熟度や個々の能力にあわせたカリキュラムが必要になります。各教科の中でも、特に漢字学習、英語や算数はこの方式が当てはめやすい。

「個別化」は社会や理科などでも導入できます。生徒が主体的に選択できる余地を提供するのです。一例が、最近普及してきた探求学習を活用するやり方です。テーマを決めて全員が同じことを調べてまとめるケースもありますが、むしろ子どもたちが個別にテーマを決める方がよいでしょう。その子どもの興味や関心にそって自主性を尊重するわけです。川がテーマなら、自分はどの川を選ぶかを決めさせる。もう少し広げて、川か海か湖かの選択をさせる。発表の形式にしても、図表と文章で説明する以外に、それが得意ならフォトエッセーでもよいといった具合です。

もちろん、教える側のリソースの問題はあるでしょう。生徒の人数が多ければ、グループ制にするとか、役割分担するとか……。それは各現場で工夫できるはずです。

注目記事
次のページ
仲間との対話から学ぶ
今こそ始める学び特集