自己肯定感の磨き方
――自己肯定感って磨くことができるのですか。その方法を具体的に教えてほしいです。
これまで自己肯定感は、「低い/高い」の二分法で語られてきたと思います。しかし大切なことは、「低い/高い」を決めることではありません。現状の自己肯定感を少しずつ良くしていく、高めていくという「行為のプロセス」が重要だと考えています。
私が具体的にやっていることは、とてもシンプル。毎晩寝る前に「今日もよく頑張った、えらい!」と自分自身を褒めることです。夜の時間は気持ちがネガティブになりやすいからこそ、ネガティブ循環に陥らないように、頑張った自分を褒めてみましょう。
――学生へ、これだけは言いたいということを教えてください。
自分が「絶対値」であるということです。私たちはつい「誰かから褒められること」で自己肯定感を高めようとしてしまいますよね。しかし、最も自己肯定感を磨くことができる行動というのは、「あなたがあなた自身を褒めてあげること」なのではないでしょうか。だから、誰かのせいにして、自分の人生に責任を持たないということは決してしないでください。あなたの人生を切り開くのは、他人ではなくあなた自身なのですから。
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金井さんのインタビュー、いかがでしたか? 一つ一つの言葉が、みんなに届きますよね。迷わず、何事も行動に移してきたからこそ、言葉に力があるのです。
キャリア論の視点から金井さんの生き方や働き方を捉えるなら、「組織内キャリア」から「自律型キャリア」へと見事にトランスフォーム(変身)した20代を過ごしてきたと言えます。しかも、ポイントは、誰かに何かを言われたからという他人視点ではなく、自ら主体的に取り組んでいくという自分視点を軸に据えたキャリア開発を積み重ねているのです。これまでの経験が金井さん自身の豊かなキャリア資本となり、30代を迎えた今も駆け抜けているのです。
さあ、まずはあなたがあなたのことを褒めてあげてくださいね。
1976年生まれ。一橋大学大学院社会学研究科博士課程を経て、メルボルン大学、カリフォルニア大学バークレー校で客員研究員をつとめる。日本学術振興会特別研究員(SPD:東京大学) 2008年に帰国し、法政大学キャリアデザイン学部教授。大学と企業をつなぐ連携プロジェクトを数多く手がける。企業の取締役、社外顧問を19社歴任。著書25冊。『プロティアン―70歳まで第一線で働き続ける最強のキャリア資本術』(日経BP社)など。最新作『ビジトレ―ミドルシニアのキャリア開発』(金子書房)