――ご自身も大学で応用物理学を専攻しながら、経済に関する仕事を志して国家公務員試験の経済職に合格するなど、独学でキャリアを切り開いてきました。ここ数年多くの著書を発表している仮想通貨やブロックチェーンに関する知見も、独学で得たそうですね。

2013年頃に、ビットコインの革新性に興味を持ち始めました。ブロックチェーンの仕組みを学びたいと資料を探し始めたのですが、当時は日本語の資料はほとんどありませんでした。そこでインターネットで調べてみると、膨大な量の英語の資料があった。その中から本当に役立つ情報を探し出し、読み込んでいったのです。

――膨大な情報の中から、「本当に役に立つ」ものをどのように探すのでしょうか。

通常なら書籍を読み、そこで引かれている参考文献に当たっていけばいいわけですが、ブロックチェーンは新しい技術なのでそうした文献もなければ権威もいない。ネット上には誰が書いたか分からない情報もたくさんありました。

とはいえ、ただ闇雲に読んでいったわけではありません。多くの資料に当たっているうちに、これは重要に違いないという、ある種の「直感」が働くようになるのです。こうした直感も、独学によって磨かれてきたと思います。

――著書『「超」独学法』では、独学で偉業を成し遂げた人物を多数紹介しています(上参照)。中でも一番感銘を受けた人物は?

やはりドイツ人考古学者、ハインリヒ・シュリーマンでしょう。彼は語学学習の天才で、実に18カ国語を話せたと言います。独学法もユニークで、英語の発音を身に付けるためにイギリス教会の礼拝式に通い、説教を聞きながら一語一語を小さな声でまねてみたり、小説を丸暗記したり。

彼が生きた19世紀は外国語が話せる人が少なかったため、様々な言語を操れる彼にはビジネスチャンスも多かった。独学によって人生の可能性を広げたわけです。

このエピソードは、今を生きる我々にとっても非常に参考になります。なぜならリモートワークの普及は、労働時間のみならず、仕事の質も変えていくからです。

明確な目的意識を持って
学び続ける人だけが
コロナ後の社会で活躍できる

――仕事の質は今後、どのように変わるのでしょうか。

職場に長時間いることが評価される時代がようやく終わり、成果が問われるようになると思います。

私もかつて大蔵省(現・財務省)という役所にいたからよく分かりますが、日本の職場は「いるか族」の集まり。上司が「おい、おまえはいるか?」と呼びかけた時に「はい、います!」といつでも答える部下が評価されてきました。

しかし、リモートワークが主流になれば、「いるか」はどうでもよく、どんな成果を上げたかで評価されるようになる。だからこそ勉強が重要になります。リモートワークで自由な時間が生まれる上に、仕事では成果が問われるようになる。そこで結果が出せるのは、手に入れた時間を上手に使い、効率的に学んでいる人だけです。

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