――職場でも装いのカジュアル化が進んでいます。
「夏になってさらにカジュアルなスタイルが増えていますが、ここでも気になるのがサイズです。オーバーサイズ気味だったり、ジャケットの袖が長すぎたり。スーツでもカジュアルジャケットでも、既製のジャケットを買ったままでお直しをしないのは、やはり変です」
――日本でカジュアルというと、楽ちん、気軽という概念が強いですね。本来はスーツ以上に難しいのに。
「カジュアルこそ気を使わないといけない。素材がいいものを着ないと、どんどんみすぼらしくなっていきます。本来はカジュアルの方がお金をかけなきゃいけないんです。カジュアルならだらしなくてもいい、楽な格好だ、安い、と勘違いしているのは日本独特のものです。コンフォタブルではあっても、素材の良さとか、きちんとして、サイズに合ったものを着ていないとだめです」
「上質の白シャツとジーパンが似合う人」になりたい
――仕事のうえで、人は外見で判断される部分も大きいです。コロナでさらに服装の清潔感が安心・安全を示すサインになったともいえるのではないでしょうか。
「電車の中で、サイズの合っていない服を着ていたり、うす汚れていたりしたら、そばには寄りたくないでしょう。仕事上の装いでは、相手に失礼のない格好をすることが大切です。それでもそうした礼儀を知らない人はいて、ちゃんとしたレストランで食事するのに運動靴でくる人もいます」

――御社のドレスコードはどういうものですか。
「ウチの襟付きシャツを着るということです。カジュアル化時代にあって、襟付きシャツははずさない、便利なアイテムですよ。夜、急に食事に出かけることになったときでも、これを着ていれば大丈夫です。やはり襟が付いていると、きちんとみえますし、上品な印象も与えられます。しっかりしたシーンで活躍するだけでなく、逆にカジュアルなシーンでもいい。洗いざらしのオックスフォードの白シャツを着て、ジーパンをはく。70歳になっても80歳になってもそういう格好ができる人でありたい、といつも思っているんです。男女ともに白シャツが似合う人というのは好まれます」