『コンフィデンスマンJP』 長澤まさみが語る撮影秘話
長澤まさみが主演し、東出昌大、小日向文世が共演する人気シリーズ映画の第2弾となる『コンフィデンスマンJP プリンセス編』が大ヒット中だ。7月23日に公開されて、興行収入20億円を超え、最終的には40億円を超える見こみだ。第3弾となる『英雄編』の製作も決定した。長澤、東出、小日向の3人が本作の魅力や見どころを語り合ってくれた。
破天荒な天才詐欺師のダー子(長澤まさみ)が、真面目で小心者のボクちゃん(東出昌大)、百戦錬磨のベテラン・リチャード(小日向文世)とともに、欲にまみれた人間たち(=オサカナ)から根こそぎ財産を奪い取る……。古沢良太(『リーガル・ハイ』)によるオリジナル脚本作『コンフィデンスマンJP』は、2018年に連続ドラマが放送され、ギャラクシー賞などを受賞。19年に劇場版『コンフィデンスマンJP ロマンス編』が公開されると、興行収入29.7億円を叩き出した。勢いに乗り7月23日に公開したのが、劇場版第2作『コンフィデンスマンJP プリンセス編』だ。今回はマレーシアを舞台に、騙し合いのコンゲームを繰り広げる。
◇ ◇ ◇
長澤 脚本の古沢さんやプロデューサーさんたちが、前から続編をやる気満々だったんですよ。だから、前作の好評を受けて製作が決まったときは、「ついにやるんだな」と実感に変わった感じでした。
小日向 僕がまず思ったのは、「どこで撮るんだ?」ということ。前作は香港ロケ。僕、外国が苦手だから、また外国に行くのかと(笑)。
東出 僕も続編の噂は聞いていたんですけれども、具体的ではなかったので、本当に寝耳に水でした。
長澤 脚本を読むと、いつものようにスカッとしつつ、今までにない展開があって、驚きましたね。
小日向 僕はマレーシアが舞台だと分かって、すぐに携帯用のシャワートイレを買いに行きました。
長澤 物語について話してよ(笑)。
小日向 ああ、そうか。でも、今までの『コンフィデンスマン』とは違うなと思って、新鮮でしたね。
東出 今回はジェシー(三浦春馬)や波子さん(広末涼子)といった、今までに登場したキャラクターが集結する物語。『コンフィデンスマンJP』の一ファンとしてもうれしく思い、撮影が楽しみでした。
東南アジアでロケを敢行
シンガポールの大富豪レイモンド・フウが死去し、遺産相続をめぐってフウ三姉弟が火花を散らす。しかし遺言書に書かれていた相続人は、誰も存在を知らない隠し子の「ミシェル・フウ」だった。それを知ったダー子は、身寄りのない内気な少女・コックリをミシェルに仕立て、その母親となってフウ家に潜り込む……。フウ三姉弟をビビアン・スー、古川雄大、白濱亜嵐が演じ、19年『町田くんの世界』でデビューした新人・関水渚がコックリを演じる。
長澤 私は関水渚ちゃんととにかく一緒にいるようにして、親子関係の役作りを丁寧にしていきました。まあ、私は母性が強いほうなので、単純に年下の渚ちゃんをカワイイと思ったんですけど(笑)。
小日向 リチャードは今回、外交官になるから英語が必要。英語の練習をがっつりして、品のいい外交官を意識して演じました。ちなみに僕は、いつもまさみちゃんにお母さん感を感じてますよ。いつも「うるさい」とか言われるから、子どもみたいな気分になる(笑)。
東出 僕は今回、特別な役作りはなかったかもしれないです……。
長澤 ボクちゃんは今回、SPみたいな感じだったじゃない?
小日向 「みたい」じゃなくSP役だよ!ひどいね、言い方が(笑)。
東出 いやいや(笑)。確かに、訓練で鍛えるシーンがあったので、白濱亜嵐くんとジムに行ったり、プールに行ったりはしましたね。
東出 江口(洋介)さんも毎晩のように僕の部屋に来てくださり。
長澤 男子飲みしてましたよね。
東出 夜な夜なコヒさん(小日向)が酔っ払い、亜嵐くんにムーンウォーク講座をしてもらってた(笑)。
小日向 本当に楽しくて、1週間いたのに苦じゃなかったよ。
東出 キャストも豪華でしたよね。
長澤 執事役で出演してくださった柴田恭兵さんはカッコ良かったし、ビビアン・スーさんに出ていただけて、国際色やスケール感が増したんじゃないかと。コヒさんはやっぱり、広末(涼子)さん?
小日向 2人きりの共演シーンが多くて、うれしかったなあ。
東出 物語の面でも、たい焼きの尻尾の先の先まであんこが入ってる、みたいな。そういう驚きや感動が、今作もありました。
小日向 ダー子とコックリの2人の成長には、ジーンときたなあ。
長澤 私も演じながらジーンと。
東出 ダー子の新たな一面を見た感じがして、うれしかったです。
脚本の構成が緻密で毎回驚かされる
前作『ロマンス編』は、19年の実写邦画で5位となる大ヒットを記録。シリーズの成功要因を、3人はどのように考えているのか。
小日向 まずは古沢さんの脚本がすごい。どこから逆算して書いてるんだろうって思うくらい構成が緻密で、毎回、驚かされますね。
東出 僕はダー子の魅力が大きいと思います。ダー子は底抜けに明るくて、お金をだまし取っても、裏にはキラキラした夢みたいなものが詰まってる。そういう明るさが魅力になっていると想像します。
長澤 私は、みんなが撮影を楽しんでいたことが、1つの要因としてある気がしますね。もちろん楽しいだけじゃないですけど、「いいものを作ってる」という自負がみんなにある。実際、みんなのチームワークがすごくいいですし。
小日向 僕ら3人も、最初から何か共通する空気感があったよね。
東出 末っ子でマイペース(笑)。
長澤 一緒にいて、全然苦じゃない。つかず離れず、馴れ合いにもならないですよね、私たち。
小日向 それは、まさみちゃんが怖いから(笑)。ほら、3人とも詐欺のために、毎回違う人になるじゃない? だから新鮮な関係でいられるっていうのもあるかも。
18年の連ドラをきっかけに、五十嵐役の小手伸也や主題歌を手掛けたOfficial髭男dismがブレイク。本作ではコックリ役の関水渚が飛躍しそうだ。
小日向 『HERO』っていうドラマと同じ匂いがしますね。あそこから舞台の人間がバンバン世の中に出ていったんですよ。僕もその1人だけど、八嶋(智人)くんとか吉田羊ちゃんとか。今回は、新人の渚ちゃんが注目されそう。
長澤 そうでしょうね、楽しみ。
小日向 でもこのシリーズ、これからどれくらい続くんだろう。
長澤 確かに。続くとしたら、これまで男性の敵が多かった気がするので、女性のすごい人が出てくるんじゃないかな? 私の中には「あの人が来てくれたらいいな」という人が1人いるんですよ。
小日向 え、誰?
長澤 今は言わない(笑)。
小日向 俺はそれより、場所だな。また、外国に行くのかなあ。
長澤 うーん、オサカナ次第かな。
小日向 お魚? ああ、オサカナね。現地の食いものの話かと思ったよ。
東出 ノドグロとか?
小日向 ノドグロかぁ、金沢だ!金沢にしてもらおうよ(笑)。
大富豪レイモンド・フウの遺産を狙い、島に世界の詐欺師が集結。ダー子たちは無事にフウ家に潜り込むが、絶体絶命の危機に直面する…。文中のキャストのほか、北大路欣也、生瀬勝久、竹内結子、三浦春馬、滝藤賢一、濱田岳、前田敦子、織田梨沙らが出演。連ドラや『ロマンス編』に続き、田中亮が監督を務める。(公開中/東宝配給) (C)2020「コンフィデンスマンJP」製作委員会
(ライター 泊貴洋)
[日経エンタテインメント! 2020年8月号の記事を再構成]
ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
※ NIKKEI STYLE は2023年にリニューアルしました。これまでに公開したコンテンツのほとんどは日経電子版などで引き続きご覧いただけます。
関連企業・業界