進む学会のオンライン化 「時間節約」も乏しい交流

運休中の旅客機などが並ぶ成田空港(5月21日)=共同
運休中の旅客機などが並ぶ成田空港(5月21日)=共同

新型コロナウイルスの感染拡大が続くなか、多人数が集まる会合やイベントの開催は依然、厳しい環境です。研究者が集まる学会や研究会の一部も中止や延期に追い込まれ、オンラインでの開催に切り替える動きが広がってきました。試行錯誤の中で利点と問題点が浮かび上がっています。

学会は、様々な大学や研究機関に属する研究者らが集まり、研究成果を発表したり、懇親を深めたりする場で、世界各地に存在します。例えば、日本の経済関連の学会では会員数が最大規模の日本経済学会は例年、春と秋に大会を開いています。会場は全国の大学で、大会ごとに場所を変えています。

今年5月の春季大会は当初、九州大学(福岡市)で開催する予定でしたが、急きょオンラインでの開催に切り替えました。参加者は各自のパソコン画面上でテーマ別の分科会に「入室」し、報告者と討論者の発表を視聴しました。質疑応答の時間もあり、分科会の流れは通常の学会と同じでした。

参加者の一人は「学会のために地方に出張するのはハードルが高かったが、オンラインになったので参加を決めた」と話します。「同時刻に開かれている複数の分科会の間を移動するハシゴがしやすかった」との声もあります。一方、「分科会の参加者の様子が分からず、発表者と聴衆が双方向で議論したという実感がわかない」(論文を発表した研究者)、「参加者の交流の場がなく、懇親会でのやり取りの中から新たな研究プロジェクトやアイデアが生まれるチャンスがない」といった指摘もありました。

日本金融学会、日本財政学会、行動経済学会といった学会も今秋以降、オンラインで開催する予定で、オンライン学会が標準になりつつあります。

学会以外でも、研究者がオンライン会議システムを活用する機会は増えています。神戸大学の小川進教授は「企業への聞き取り調査がオンラインで可能になり、出張の費用や時間をかなり節約できる。遠方に住んでいて、じっくりと意見交換できなかった研究仲間とオンラインで気軽に話し込むことも多くなった」と効用を実感しています。

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