「守りと攻め、筋肉質の組織をつくる」

ゴンチャ ジャパンを率いてきた8カ月を原田氏はこう振り返った。「コロナ禍の厳しい中だからこそ、守りと攻めと筋肉質な組織体制をつくる。就任1年後には1年前のゴンチャとはまるっきり変わったと評価いただけるように一生懸命いろんな変革をやっている」その言葉通り、客層拡大、来店頻度向上を合言葉に、なりふり構わず手を打ってきた。

まず20年2月に黒糖ミルクを発売した。海外のゴンチャで一番の売れ筋だった商品を上陸させ、タピオカミルクティーと並ぶ看板商品に押し上げた。

続いて学生証の提示で対象ドリンクを300円(税別)で販売する「学割」を始めた。「500円、600円の価格帯では学生の来店頻度が上がるわけがない。映画館も公共交通機関も学割があるのに、なぜ飲食業界にはないのかという極めてシンプルな自問自答から学割を始めた」(原田氏)。2店舗、金曜日のみ、1商品のみからスタートし、効果を見極めたうえで20年3月から全店舗、全曜日へと広げ、対象ドリンクも拡大した。学割開始当初から利用者の43%が新規客となり、学生の来店頻度は大きく底上げされたという。

20年6月には、なんとコーヒーを投入した。これまではスタバとの差別化を打ち出していたが、「日本人はコーヒーの消費量が多い。多くの顧客とのタッチポイントをつくる意味でコーヒーは欠かせない」(原田氏)。グランデュオ立川店(東京都立川市)での実験を終え、いよいよ全店展開していくという。さらにフードメニューの開発も進めている。フードが加われば、ドリンクとのセットメニューの展開も可能になる。

メニューが多様化することは、ともすればティーカフェというゴンチャらしさが失われる危険性もはらむ。しかし、原田氏はきっぱりと明言した。

「タピオカミルクティーをコアとするのは今後とも変わらない。しかし、これだけだと非常に厳しい。メニューのバラエティーが増えると来店動機が広がり、来店回数も上がっていく。1人のお客様の来店頻度が上がって収益性が上がったら、今度はそれを新規顧客獲得に投資するというサイクルを回す。繰り返しになるが、4つのベースティーを基本としたティーメニューは永遠に消えることはない。これはゴンチャというアジアンカフェのブランドの基本だと思うので、フルーツビネガーが主流になる、コーヒーが主流になるということはない」

目指すは「来店から3分で提供」

改革はメニューだけにとどまらない。原田氏はオペレーションにもメスを入れた。「ゴンチャに行かない理由のトップが列に並びたくないということ。お客様をお待たせしない。来店されてから商品をお渡しするまで3分。ここに達することができなかったら、客層の広がりはないだろうと思っている。そのため、オペレーションのノウハウのみならず、商品のSKU(種類)を相当絞ることにした」。

ゴンチャは2000種類の味のカスタマイズを売りにしてきたが、提供時間を短縮するため、今後は徐々にカスタマイズの種類を絞っていく方針だ

ゴンチャと言えばこれまでベースとなる茶葉を4種から選び、甘さ、氷の量を指定し、さらにタピオカやミルクフォーム、ナタデココ、アロエといったトッピングを自由に組み合わせることで、2000種類に上る味をカスタマイズできることを売りにしていた。しかし、原田氏はここに疑問の目を向けた。

「1人のお客様のために心を込めて1杯のお茶を提供しますと言っているわけだが、2000種類から選べるわけがないし、2000種類からおすすめすることもできない。したがってカップサイズも甘さもメニューの種類ももうかなり絞っている。今後ともあるレベル以上の売り上げを達成しないものは削減し、ヒット商品に入れ替えていくことを継続していきたい」

(日経クロストレンド 酒井大輔)

[日経クロストレンド 2020年7月30日の記事を再構成]

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