チコちゃん人気は「問いの深さ」 Whyが問題解決導く
第11回 Why思考
チコちゃんに叱られますよ
読者の皆さんのなかで、電車で居眠りをして乗り過ごしてしまった、という人はいませんか。そんな方にお尋ねします。なぜ、電車に乗ると眠くなるのでしょうか。
実はこれ、NHKの人気番組「チコちゃんに叱られる!」で出された問いです。5歳の女児チコちゃんが出す問題をゲストに問い、間違うと「ボーっと生きてんじゃねーよ」と叱られます。今やNHKの看板番組の一つとなり、このフレーズが2018年の流行語大賞トップテンにも入りました。
最近、TVをつけるとクイズ番組だらけです。そんな激戦区で、なぜチコちゃんが高い人気を誇るようになったのか。いろんな要因が指摘されていますが、「問いの深さ」がこの番組の真骨頂ではないかと思っています。
普段、当たり前に思って考えたことのないテーマに、「なぜ?」と鋭く切り込んでいきます。あらためて問われると、絶句してしどろもどろになり、自分もチコちゃんに叱られる気分になります。そんなことも知らずに今まで生きてきたのか、と。
これこそが今回取り上げる「Why思考」です。「なぜ?」を問いかけることで、物事の本質を見つけ出す思考法です。
人間は、「意味を求める動物」です。5歳どころか、早い子だと2歳くらいで、見るものすべてに「なんで?」「どうして?」と言い出すようになります。理系・文系を問わず、ありとあらゆる学問は、「なぜ?」を問うところから始まります。私たちは、「なぜ?」を解き明かすことで、物事を深く理解しようとするからです。
問題を処理せずに解決をする
なぜ、ビジネスパーソンにWhy思考が必要なのでしょうか。ひとつは、本質的な問題解決を私たちにもたらしてくれるからです。
問題解決でよくやってしまう失敗に、「あわてて解決に走ってしまう」というのがあります。売り上げが下がったから宣伝を打つ、不良品が増えたから検査を厳しくする、メンバーに元気がないから飲み屋で愚痴を聞く、といった手合いです。