「ゲリラ豪雨」被害減らす新習慣 防災は雲の科学から気象庁 気象研究所 荒木健太郎(最終回)

ナショナルジオグラフィック日本版

「楽しみながら、雲で遊んだり、雪の結晶で遊んだりしていて、自然と防災力が高まるといいなと思っているんです」
文筆家・川端裕人氏がナショナル ジオグラフィック日本版サイトで連載中の「『研究室』に行ってみた。」は、知の最先端をゆく人物に専門分野の魅力などを聞く人気コラムです。今回転載するのは、アニメ映画「天気の子」(2019年公開)の気象監修を務めた荒木健太郎さんが「雲の科学」を語るシリーズ。夏にはちょっと涼しい雪の結晶の話題から、危険な集中豪雨をもたらす積乱雲の予測まで、美しい画像とともに解説してくれます。

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「よくテレビでゲリラ豪雨って言われるじゃないですか。あれって、気象関係者から見ると、悔しいんですよね。ちゃんと予測して警報を出した事例でも、夕方の番組でゲリラ豪雨と言われてしまうこともあるわけです。でも、考えてみてください。予測できないからゲリラなんですよ。ちゃんと予測しているのにゲリラと言われても釈然としなくて」

積乱雲の予測と防災にまつわる話題を、荒木さんはこんなふうに語り起こした。

気象研究所「予報研究部」に所属する荒木健太郎さん

ゲリラ豪雨というのは気象庁が定めた正式な用語ではない。突然降って、突然去っていくような、局地的な大雨のことを、予測できているかどうかに関わらずマスメディアでは呼んでいることが多い。

これは、気象庁の言葉では、「局地的大雨」に相当する。「急に強く降り、数十分の短時間に狭い範囲に数十mm程度の雨量をもたらす雨」というのが定義だ。荒木さんは、もう一歩踏み込んで、災害をもたらしうる局地的大雨のことを、「局地豪雨」と呼ぼうと提唱している。

マスメディアでは、報道に値する一定の被害、たとえば都市での道路の冠水や浸水などをもたらすものでないと報道されないので、ことテレビなどで見るものについては、荒木さんがいう「局地豪雨」、つまり、「局地的大雨のうち、災害を発生させるもの」に相当するかもしれない。

川端裕人さん

さらに気象庁には「集中豪雨」という言葉もあって、「同じような場所で数時間にわたって強く降り、100mmから数百mmの雨量をもたらす雨」とされている。このレベルになると、土砂災害、河川の氾濫といった大規模な水害の原因となる。

ちょっとこのあたり、用語がひとすじなわではいかないが、大気現象としては局地的であることには違いない。範囲と時間の要素を抜き出すと、局地的大雨は「狭い範囲」「数十分」で、集中豪雨は「同じような場所」「数時間」とされている。後者の方が範囲としては広く、長く降り続くと想定されている。

こういった大雨の原因となるのは積乱雲だ。1つの積乱雲の寿命はせいぜい1時間ほどで、もたらす降雨は数十ミリくらいだから、局地的大雨は1つの積乱雲でもその原因たりうる。一方で、何時間にもわたって100ミリを超えるような雨を降らすには、複数の積乱雲が組織化しないと無理だ。

「1時間に100ミリメートルの雨って、想像できますか」と荒木さんは言った。

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