就職先選び「在宅勤務OK」重視 女子大生1000人調査

2020/7/28
写真はイメージ=PIXTA
写真はイメージ=PIXTA

女子大生が就職や働き方で「危機への備え」を重視し始めた。新型コロナウイルス感染拡大の前後の変化を聞いた日本経済新聞の調査では、民間企業で重視する条件として「在宅勤務ができる」が2.6倍に増加。採用・転職が安定しやすい専門職や、結婚・出産後もパートナーと同様に家計の柱として働くことを志向していた。現実を見据えた働き方を選ぶ傾向は今後も強まりそうだ。

変化に強い企業へ 当初の志望を一転

新型コロナウイルス対策のため、最終面接の部屋に設置されたアクリル板(6月1日、東京都千代田区の三井物産)

調査に合わせて、大手企業への就職が女子大トップクラスの、東京女子大学4年生に取材した。

「コロナ拡大後に志望をIT(情報技術)企業へ切り替えた」。中村奈央さんは就職活動を振り返る。以前は客室乗務員を志望し、就活予備校に通っていた。しかし、参加したインターンの雰囲気やニュースなどから航空大手の採用活動が止まる気配を察知。業界のリスクを目の当たりにし「変化に強い企業に就職したい」(中村さん)とIT企業を第1志望に据え、内定を獲得した。「在宅勤務への切り替えが容易で職種も多い」のが決め手だ。

宇都宮栞さんの希望は東京での就職だった。転勤を伴う企業や職種は念頭になかったが、コロナ禍で「自然災害などのリスクも意識するようになり、1カ所で生活するのは危ない」と考え直した。来春は金融業で転勤のある職種に就く。藤田友香さんは絶対に大企業に就職したいと思ったという。「最初の就職先が経営危機に陥ったり、自分とミスマッチだったりしたとき転職しやすい」のが理由だ。

未曽有の状況での就活で、当初の希望を変えた学生は多い。日本経済新聞は7月上旬、全国の女子大学生1~4年生計1000人に就職や働き方の理想が、コロナ禍前後でどう変化したかを調査した。浮かび上がったのは変化に適応できる働き方を求める姿だ。

コロナ後は危機に備えて仕事や働き方を考える傾向が強くなっていた。在宅勤務への関心が高まったのが特徴だ。理想の働き方を聞いた設問で多く選ばれた順に並べると「在宅勤務で働く」はコロナ前の6番目からコロナ後は3番目へ浮上。「大きな組織で働く」を抜いた。民間企業で重視する条件でも「在宅勤務」は17.5ポイント増え、変化率が最も大きかった。

自由回答では「テレワークが可能など、臨機応変に対応できる仕事が大切」「子供がいると感染が怖い。できるだけ在宅で働きたい」が並んだ。

女子大生の就職動向に詳しい京都女子大学の橘木俊詔客員教授は「今後は在宅勤務ができる企業とできない企業で人材獲得に差が出る」と指摘する。また、「地方の学生が東京での就職を敬遠する傾向も高まっており、在京企業の地方移転も増えるのでは」という。

調査では公務員のほか、国家資格の医師や看護師、弁護士などの専門職で働きたいとする割合が高まった。自由回答では「国家資格を持っていると職を失うことがない」「手に職をつけることの重要性を改めて感じた」との回答が目立つ。

学生の就職希望の動向に詳しいリクルートキャリア就職みらい研究所の増本全所長は「コロナ時代にはどの企業が安定しているかは分からなくなってきており、失業リスクがより低い専門職の志望が増えている可能性がある」と語る。

注目記事
次のページ
出産後も一家の「大黒柱」に
今こそ始める学び特集