――変化の時代を迎え、B to Bのデジタルマーケティングはどのようにあるべきだと考えますか。

「本質的にはB to BもB toCも変わらないと思います。対象が不特定多数なのか特定の人なのかの違いはあれ、人の意思決定を促すという意味では同じです。B to Cマーケティングで陥りがちな勘違いの最たるものが『消費者が答えを知っている』という神話です」

「何が欲しい」と尋ねても答えは出てこない

「1980年代ならそうだったかもしれません。欲しい商品がまだ実現されていなかったり、値段がまだまだ高かったり。しかし、いまは通用しません。『何が欲しいですか』と尋ねてもおそらく答えは出てきません。『こういうものがあったらうれしいのではないか』ということを、先回りしなければならない時代になっているのです。同様のことが、B to Bでもはじまっているようにも思います」

「デジタルは使い勝手のよい武器です。質問よりも行動観察の方がうまく機能することが多いです。ただデータは解釈する必要があります。数値を示しても、単位と比較対象がなければ、多いのか少ないのか、増えているのか減っているのかもわかりません。きちんと解釈するには、数値の変化を見なければなりません」

――コロナ下、デジタルは人びとの働き方も大きく変えようとしています。

「テレワークなどで会社に出勤せずともよくなったことは大きな変化です。これまでは会社での非公式でカジュアルなコミュニケーションが人を育ててきたように思います。それが顔を合わせたミーティングがなくなり、雑談もなくなりました。これまでの人材育成の手法が通用しなくなったのです」

音部大輔 クー・マーケティング・カンパニー代表 日米P&G、ダノンジャパン、ユニリーバ・ジャパン、資生堂などで、マーケティング担当副社長やCMOとしてマーケティング組織を構築・指揮。2018年より現職。博士(経営学 神戸大学)。日本マーケティング学会 理事。NIKKEI BtoBデジタルマーケティングアワード、日経BPマーケター・オブ・ザ・イヤー審査員。著書に「マーケティングプロフェッショナルの視点」(日経BP)など。

「これから何が必要かというと、おそらくパーパスを具現化するために、どういうスキルが必要かを明確にして、そのスキルリストに対して、今はどこまでできて、さらに習得するには何をすべきかなど、可視化された理知的な手法が求められるのでしょう。最初は手間がかかることですが、いつかはやらなければならなかったことだと思います」

「人材の流動化が加速しています。人材の流動化には、求めるスキルを明確にしなければ採用しにくいでしょう。これからはジョブディスクリプション(職務定義書)を規定したり、スキルリストを整備したりすることが不可欠になると思います」

――混迷の時代を勝ち抜くため企業は何をなすべきでしょうか。

「どのような状態が『強い』のかというと、資源が豊富にある状態が強いのです。ビジネスでもスポーツでもそうです。何か目的を達成しようするなら、資源優勢であれば負けようがありません。資源優勢を常に探すことです。『Fail fast, learn a lot (誰よりも早く失敗し、多くを学ぶ)』という言葉がありますが、一発目で当たらなくても2発目で当たるようにしておけばいいのです。1回目は実験として、当たりをつけてから、資源を投入するといった具合です。実験プランを常に走らせておくことは有効でしょう」

(平片均也)

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