隈研吾氏がデザイン監修 歴史を生かす京都「新風館」

日経クロストレンド

リアル店舗ならではの体験価値が成否のカギ

新生新風館は、国内外に店舗展開する人気カフェや話題の飲食店が集結しているのも特徴だ。オープン以降人気を集めているのが、ファッションブランド「メゾン キツネ」が手掛けるカフェ業態「カフェ キツネ」。パリやソウルなど世界で9店舗を展開し、国内では東京・青山、岡山に続く3店舗目だ。アパレルとカフェの複合店としては国内初出店。「カフェ キツネではローカライズを大切にしている。宇治産のオリジナルブレンド抹茶など、日本茶を使った京都ならではの限定メニューを用意している」(カフェ マネージャーの眞鍋侑子氏)。

ファッションだけでなく音楽レーベルやカフェなどを展開するライフスタイルブランドとして世界中にファンが多い「メゾン キツネ」。京都店は国内3店舗目の「カフェ キツネ」が併設。カフェは午前8時30分から営業

スープ専門店「スープストックトーキョー」を展開するスマイルズ(東京・目黒)は、リサイクルショップ「PASS THE BATON KYOTO GION(パスザバトン京都祇園店)」内に併設する喫茶「お茶と酒 たすき」の2号店をオープン。京都祇園店でしか食べられなかったかき氷をテークアウトで提供する。カクテルをベースにした酒氷や〆(しめ)氷が、新たな味覚を求める大人の男女に好評だ。

スマイルズが展開する「パスザバトン京都祇園店」内に併設する喫茶「お茶と酒 たすき」の2号店。人気のかき氷をテークアウトで提供するため、持ち帰り用の容器も開発。イートインスペースでは、お茶のカクテルや京都のクラフトビールなども楽しめる

オーガニック農産物を扱う坂ノ途中(京都市)は、校正・校閲の専門会社である鴎来堂(東京・新宿)と協業し、スープ料理と選書を販売する新業態「本と野菜 OyOy(オイオイ)」を出店。書店と飲食店が一体化したユニークなスタイルが注目を集めている。

いずれのテナントも店舗ならではの空間とサービス、こだわりの商品で、他店とは一線を画す戦略を打ち出している。顧客はわざわざ店舗に足を運ぶことで、初めて他にはないブランド価値を体験できる。ブランド側にとっては店舗を起点に、顧客エンゲージメントの向上を図れる。

新型コロナ禍を機に店舗のショールーム化が加速する現在、リアルな店舗に求められるのは「繰り返し出向きたいと思ってもらえる体験価値を創出すること」(増留氏)。安心安全を担保しながら、ここにしかない体験価値を提供することで、コロナ禍で苦境に立たされた京都の街の再生にも貢献できそうだ。

(文・写真 橋長初代)

[日経クロストレンド 2020年7月15日の記事を再構成]

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