漫画家・山田マリエさん 父譲り?ボーイズラブ好き
著名人が両親から学んだことや思い出などを語る「それでも親子」。今回は漫画家の山田マリエさんだ。
――「パタリロ!」で知られる漫画家の魔夜峰央さんがお父様。作品では魔夜家の日常が面白おかしく描かれ、家族仲のよさがうかがえます。
「バレエ教室を運営する母と、母の教室で子どもや初心者に教える助教を兼ねるわたし、バレエ団プロダンサーの弟に父と、家族4人で同居しています。父も母の薦めでバレエを始めたのですが、父の原作で昨年相次ぎ公開された映画『翔(と)んで埼玉』と『劇場版パタリロ!』に家族4人で出演し、バレエを披露しています。父が知らないうちに決めちゃうんです」
――子どものころはどのようなお父様でしたか。
「母に習っていたバレエの発表会には必ず来てくれるなど、ずっといい父親でした。『人に優しく自分に甘く』が座右の銘で堅苦しいことが一切なく、進路についても何か言われたことはありません」
――漫画家になったのはお父様の影響ですか。
「憧れた時期もありますが、ずっと明確な将来の夢ってなかったんです。バレエコースのある高校に進学したのもバレエを踊れると入学できるという安易な理由で、強い思い入れはありませんでした。4年ほど前に父のファンだった編集者から『描きませんか』と言われ、初めて将来を見た気になりました」
――お父様はBL(ボーイズラブ)の先駆け的な美少年の同性愛を描いています。山田さんもBL好きの「腐女子」を自称していますね。
「原点はパタリロですね。生まれたときから漫画が本棚にあり、いつの間にか父の作品のファンになっていました。父には子どものときから文化の一つとして漫画の名作を読むよう薦められ、少年の同性愛を描いた『トーマの心臓』や『風と木の詩』などを読みました。通りがいいのでBL好きは父の英才教育などと言いますが、もともと素養があったのだと思います」
――漫画の描き方はお父様に学んだのですか。
「すべて独学です。父のアシスタントとして作品に色を塗っていますが、全くの素人でした。父が具体的なアドバイスをすることはありません。ギャグに1コマ挟んでから突っ込むなど、笑いのテンポはかなり父から受け継いでいると思います」
――デビューが決まったときのご両親の反応は。
「喜んでハグしてくれました。デビュー作の帯には父が『買って。』と推薦文を書いてくれましたが、作品は見ないよ、と言われました。粗が見えてしまって、口を出したくなるのを避けたいのだと思います」
「働く姿をずっと見てきたので両親をひたすら尊敬しています。最初の印税で両親に温泉旅行をプレゼントしました。まだ父の扶養家族なので自分の作品で経済的に自立したいと思います」
[日本経済新聞夕刊2020年7月21日付]
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