新型コロナウイルスの影響で、大好きなラーメン店に行列を成すのがまだはばかられる日々が続いている。ならば「オンラインで並んで!」とウェブ投票を呼びかけた。日本経済新聞社は、「並んでも食べてみたい」ラーメンを選ぶ「ラーメン・レシピ・コンテスト」を実施。7月20日、「飲み干せる鶏しおラーメン」(河野哲也さん、47歳、東京都)のグランプリが決定した。
グランプリを受賞した「飲み干せる鶏しおラーメン」は、丸鶏と煮干し・カツオ節・コンブからとったWスープが特徴で、丸鶏のスープの上澄みからすくった鶏油と生山椒(さんしょ)を合わせた香油の「山椒鶏油」がアクセントになっている。作者の河野さんは外回りの営業の合間に、昨年は160杯食べたというラーメンマニア。「自分でも作るようになってから、手間をかけてとったスープが捨てられるのは切ないと思うようになった。老若男女誰でも飲み干してもらいたい」ということで、このレシピ考案に至ったという。
審査員の1人、東京医療保健大学で管理栄養士の佐藤祐子氏は「日本人の塩分摂取量はWHO(世界保健機関)の基準を大きく超えており、社会問題となっている。また、ラーメンは塩分が多いと敵視する向きもある。その意味でこのラーメンの着眼点は時宜を得たものだ。ただもうあと一段、塩分を抑えていただければ無敵のラーメンになるのでは」と評した。
ラーメン官僚の田中一明氏には「寸胴2つ使って丁寧にスープをとる様子やオリジナルで『山椒鶏油』を考案するのはプロのよう。ぜひ、食べてみたい」と言わしめた。辻調理師専門学校中国料理特任教授の西浜康之氏も、「中国料理では、『山椒』と『鶏油』はそれぞれ食材として確立しているが、組み合わせたものはない。新しい味の提案を頼もしく感じる」と語った。