消しゴムの「箱買い」が人気を後押し

実は富士山消しゴムの人気を後押しする要素の一つが、複数買いのニーズだ。受験生へ贈る縁起物やインバウンド向けの土産物としてのプレゼント需要はもちろん多いが、「普段使い用」と「観賞用」として複数購入する人も意外に多いのだ。

消しゴムを入れるスリーブ(ケース)の模様を複数用意しているのもポイント。「例えばキャラクターを印刷した商品は人気・不人気が分かれてしまう。富士山消しゴムの場合、あえて好みが分かれない範囲で微妙にデザインを変えたスリーブを用意している」(本木氏)。「全種類をそろえたい」というコレクション欲を刺激してるのだ。複数パターンのスリーブを用意すると生産効率は落ちるが、その手間を補ってあまり有るヒットを生んでいる。

現状の「青富士」のスリーブのパターンは6種。市松や七宝つなぎなどの和柄を基調としている

富士山消しゴムを「箱買い」する消費者は、実際のところ少なくない。プラスは当初、店頭ディスプレー用の中箱を20個入りサイズにしていたが、「箱買いもしやすいように」(同社)と12個入りに変更。スリーブの模様も中箱の個数変更に合わせて、5柄から6柄に増やす凝りようだ。

発売当初は数量限定だった富士山消しゴムは、反響の大きさから19年12月に「青富士」のみを定番化し通年販売となった。ただ、「商品の登場が待ち遠しくなる風物詩のような“旬”を作る」というのが本木氏のコンセプトであり、20年2月には第2弾となるピンク色の「桜」を限定発売している。

店頭に置くディスプレー用中箱は20個入り(左)から12個入り(右)になった
2月には第2弾となるピンク色の「桜」を限定発売した

残念ながら、新型コロナウイルスの影響で7月に発売を予定していた限定版はお蔵入りとなった。ただ秋ごろの発売を目標に、第3弾となる限定企画を現在検討中という。定番文房具の常識を覆した富士山消しゴムが、いずれロングセラーの仲間入りする日が来るのかもしれない。

(日経トレンディ副編集長 佐々木淳之)

[日経クロストレンド 2020年7月7日の記事を再構成]

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