ゼロから国際高校を創設 起業家に学ぶ実行力の養い方『世界に通じる「実行力」の育てかた』

世の中を変えるために一歩踏み出そうと呼びかける
世の中を変えるために一歩踏み出そうと呼びかける

不確実性が高まるこれからの時代は、ビジネスパーソンの「実行力」が問われる。今回紹介する『世界に通じる「実行力」の育てかた』では、教育の現場から世の中を変えようと奮闘してきた日本のチェンジメーカーが自身の生き方と活動について語っている。著者は30歳代になってから、日本で全寮制国際高校の運営に挑んだ。「一歩踏み出して、今の自分を変えてみたい」と思う若い企業人や学生の皆さんに、行動を起こすためのヒントを与えてくれるだろう。

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小林りん氏

著者の小林りん氏は、学校法人ユナイテッド・ワールド・カレッジISAKジャパン代表理事です。都内の高校からカナダのユナイテッド・ワールド・カレッジ(UWC)に編入し1998年に東京大学経済学部を卒業。国際協力銀行などを経て2005年にスタンフォード大学大学院で国際教育政策学の修士課程を修了しました。国連児童基金(ユニセフ)のプログラムオフィサーとしてフィリピンでストリートチルドレンの教育問題にかかわり、14年に現在の学校の前身であるインターナショナルスクール・オブ・アジア軽井沢(ISAK)を設立しました。UWCの加盟承認を受けて、17年8月から現在の校名になっています。

多様性が生み出すパワー

UWCは1962年に発足した国際的な教育機関で、本部はロンドンにあります。18の学校とカレッジが加盟。世界約160カ国にボランティアのネットワークを有して、各地で子どもたちを選抜しています。日本にあるUWC ISAKジャパンは建学の精神として「自ら成長し続け、新たなフロンティアに挑み、共に時代を創っていくチェンジメーカーを育む」ことを掲げています。日本初の全寮制の国際高校であり、世界の80を超える国・地域から約200人の生徒が集まって学んでいます。

学校運営では多様性を重視しています。生徒の国籍が多様なだけでなく、宗教観、歴史観、文化的背景に違いを持つ人たちが集まってくるのです。当然、教師にも相応の資質が求められます。採用条件の一つに「クラスの中に多様な価値観があることを理解し、授業を通じてそのぶつかり合いがあってもいいと信じていること」という項目があります。インターナショナルスクールというと経済的に恵まれた家庭の子どもたちが集まるイメージが強いようですが、この学校は違います。奨学金が充実していて、生徒の家庭環境は様々なのです。

私たちは、奨学金を「お金がない子どもがかわいそうだから給付するもの」とは考えていません。「いろいろなバックグラウンドを持った多様な子に入学してもらうことが、すべての生徒の学びにつながる学校の宝」だと捉えています。奨学金の金額自体も生徒によって一人ひとり大幅に違います。全額支払える生徒と、全額奨学金を給付される一部の生徒、という二極構造ではありません。この仕組みもまた、それぞれの多様なバックグラウンドを持つ生徒が集まることにつながります。
何か社会の課題が出てきたときに、画一的な価値観の人たちが集まった中で出される解と、そうではない多様な価値観のコミュニティから出てくる解では、大きく異なります。例えば急速に成長するアジアやアフリカ市場を考えたとき、いわゆるBottom of the Pyramid(BOP)ビジネスは不可欠ですが、先進国出身のマーケッターだけが会議室の中で対策を練っても、あるいは現地を歩いてさえも、見えていないものがあるかもしれません。多様性は、パワーなのです。
(第3章 真の多様性とは何でしょうか? 142~143ページ)
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