大谷選手も実践、目標は書いて明確に 教育現場が原点『書いて鍛えて強くなる!原田式メンタル教育』

「仕事と思うな、人生と思え」

原田氏が現在取り組んでいる社会人バージョンの「心づくり指導」にはユニークな合い言葉があります。それは「仕事と思うな、人生と思え」です。何のために働くのか、なぜその仕事を選んだのか、周囲の人に感謝されているか、社会のどんな役に立っているか――。そういった基本的なことがらから問い直し、心の充実につなげます。

企業人向けで行っているトレーニングに「3分間作文」があります。まず書く前の1分間で「何を書くか」を落ち着いて考えます。そして「はじめ」の合図とともに3分間、思ったことを原稿用紙に書くのです。これを定期的に続けることで、目標設定の意識を強めます。同時に、後ろ向きの気持ちを徐々に前向きに変える効果を得ます。

大人の心づくりは、まず、自分のぶ厚い思い込みの殻を破る、つまり、主体変容=トランスフォーメーションを体験させることから始まります。
失敗を前向きに変える術を持たない人はどうしても後ろ向きになってしまうのですが、大人は子どもより多くの失敗経験を積んでいます。だから大人の場合は、子ども以上に未来志向に育てていくための強力な仕掛けが必要なのです。
そこで考案したのが、自分に気づき、主体変容させる「3分間作文」です
(第3章 大人たちの心を磨く 207ページ)

本書は03年10月に日経BPから刊行した『カリスマ体育教師の常勝教育』を加筆、文庫化したものです。文庫版の「はじめに」で、著者は「人を育てることの本質は時代が変化しようとも揺らぐことはありません」と書きました。そして「教育者、あるいは指導者として目指すべき『自立型人間の育成』というゴールは17年前も今も変わっていません」と強調します。コロナの影響で社会の変化が加速し、将来の不確実性が格段に高まっています。こんな時だからこそ「目標を設定して実現を目指す技術」を説いた本書は再読の価値が高いと思います。

◆編集者からひとこと 日本経済新聞出版・三田真美

本書の元となった『カリスマ体育教師の常勝教育』は、刊行当時、教育界だけでなく企業の人材育成においても一大旋風を巻き起こしました。文庫化にあたっては、時代にあった加筆修正を行い、コロナショックという予期せぬ事態に直面して、不安が増しているビジネスパーソンが、変化対応力を身につけ、冷静に日々の仕事に取り組む上での羅針盤となるメッセージや事例を随所に盛り込んでいます。筆舌に尽くしがたい厳しい生活環境にあった子供たちに、「自分は変われるのだ」と信じさせ、自己肯定感を高めることで、未来を切り開いてきた著者の言葉、子供たちとのエピソードは、何度読んでも心に響きます。時代を経ても色褪せない、不思議と希望が湧いてくる一冊なのです。

一日に数百冊が世に出るとされる新刊書籍の中で、本当に「読む価値がある本」は何か。「若手リーダーに贈る教科書」では、書籍づくりの第一線に立つ出版社の編集者が20~30代のリーダーに今読んでほしい自社刊行本の「イチオシ」を紹介します。

書いて鍛えて強くなる! 原田式メンタル教育 (日経ビジネス人文庫)

著者 : 原田 隆史
出版 : 日本経済新聞出版
価格 : 880円 (税込み)

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