アウディA6アバント40 TDI 大人っぽい静かな乗り心地

2020/7/26
試乗車には4輪操舵機構と電子制御可変ダンパーからなるオプション「ドライビングパッケージ」が採用されていた

乗り心地もコーナリングでのマナーも上々

試乗車はスポーツサスを組み込んだ上で、オプションの「ドライビングパッケージ」に含まれる可変ダンパーが装着されていた。その乗り心地はスチールスプリングにも関わらず、エアサスに負けないほど快適。路面のうねりではバウンスを許すが、これをワンストロークでスッと抑え込むダンパーの制御が見事だった。

スポーツサスという割にステア応答性はおっとりしているが、切り始めから車体はきちんと反応しているから、応答遅れを感じない。そしてドライビングモードで「ダイナミック」を選べば、動きがさらにまとまる。ダンパーを引き締めても乗り心地が悪くならないのは、225/55R18というタイヤのキャラクターも効いている。もう少しハンドリングに“若さ”を加えたいなら、1サイズくらい幅を広げて、扁平(へんぺい)率を下げてみるのもいいだろう。

ラゲッジスペースの容量はVDA計測値で565リッター。リアシートの可倒機構は4:2:4の3分割式となっている

当日は東京から中央高速道路を経由して山梨・南都留郡のワインディングロードまでアシを延ばしたが、せまい峠道では巧みにロールを抑えながらも、無理やりにこのボディーをネジ込んでいこうとはしない姿勢に、むしろ好感が持てた。つまり後輪操舵の制御も、このしなやかな足まわりとうまくキャリブレーションが取れている。

ベーシックでオーソドックスな“いいクルマ”

全体としてA6 40 TDIは、落ち着きのある大人らしいキャラクターだ。ここにラグのない動力性能を足すのなら、やはり55 TFSIのV6エンジンが必要だと思うし、よりスタイリッシュさを求めるのなら「A7スポーツバック」もあるだろう。しかし、いわゆる超オーソドックスなミドルセダンあるいはエステートが欲しいならば、A6の40 TDIは“どストライク”だと思う。あれもこれもと欲張った製品が幅を利かせる昨今、本当にベーシックで良い物を探すのはなかなかに難しい。そんな中にあって、A6 40 TDIは飾り気のない高級車である。

「A6 40 TDI」は、過度にスポーティネスやスタイリッシュさを主張しない、今時珍しいオーソドックスな高級車に仕上がっていた

また今回はアバントということもあって、おっとりとしたキャラクターがむしろ道具感を引き立てる効果も高いと感じた。その柔らかい乗り味は565リッターのトランクに荷物をたくさん詰め込んで、荒れた道路や別荘地への砂利道をガシガシと突き進むためにある。雪が降ってもスコールが来ても、クワトロのトラクションが安心を与えてくれると思うと、なんだかワクワクする。

乗り味に過剰な刺激がないからこそ、A6 40 TDIはアクティブなライフスタイルに高いマッチングをみせるのではないか? この静かで上質な乗り味を、ただ漫然と走らせるだけではもったいないなぁ……と感じた試乗であった。

(ライター 山田弘樹)

■テスト車のデータ
アウディA6アバント40 TDIクワトロ スポーツ
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4940×1885×1475mm
ホイールベース:2925mm
車重:1900kg
駆動方式:4WD
エンジン:2リッター直4 DOHC 16バルブ ディーゼル ターボ
トランスミッション:7段AT
最高出力:204PS(150kW)/3800-4200rpm
最大トルク:400N・m(40.8kgf・m)/1750-3000rpm
タイヤ:(前)225/55R18 102Y/(後)225/55R18 102Y(ブリヂストン・トランザT005)
燃費:16.1km/リッター(WLTCモード)
価格:828万円/テスト車=979万円
オプション装備:オプションカラー<カラットベージュM>(9万円)/ドライビングパッケージ<ダイナミックオールホイールステアリング+ダンピングコントロールサスペンション>(40万円)/パワーアシストパッケージ<電動チルト・テレスコピックステアリングコラム+パワークロージングドア>(18万円)/リアコンフォートパッケージ<シートヒーター[リア]+エアクオリティーパッケージ+サンブラインド[リアドアウィンドウ]>(16万円)/ワイヤレスチャージング(3万円)/アシスタンスパッケージ<フロントクロストラフィックアシスト+サラウンドビューカメラ+カーブストーンアシスト+リアサイドエアバッグ+アダプティブウィンドウワイパー>(14万円)/Luxuryパッケージ<コンフォートシート[フロント]+シートベンチレーション[フロント]+4ゾーンデラックスオートマチックエアコンディショナー+アウディミュージックインターフェイス リア+マルチカラーアンビエントライティング+HDマトリクスLEDヘッドライト>(51万円)

[webCG 2020年6月29日の記事を再構成]

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