アウディA6アバント40 TDI 大人っぽい静かな乗り心地

2020/7/26
「A6 40 TDI」には、欧州計測値で約3%の省燃費効果を実現したという、12Vのマイルドハイブリッド機構が装備される

むしろ気になるのは、足裏からうっすらとエンジンの振動が伝わることで、ここはガソリンモデルに軍配が上がる。これをディーゼルエンジンの特性として納得するか、エントリーモデルとはいえコミコミで1000万の大台に迫るプレミアムエステートとして不満に思うかは、ひとつの分かれ目となるかもしれない。参考までに、その燃費はWLTCモード(総合)で16.1km/リッター。同じ直列4気筒のガソリンモデルである45 TFSIは11.4km/リッターとなっている。

そんな40 TDIだが、見せ場はまず高速巡航で訪れた。日本の法定速度下におけるエンジン回転数は極めて低く、回転を2000rpm以下にとどめることはたやすい。風切り音はその存在すら忘れるほどで、良好な路面ではロードノイズまでもが収まってしまう。さらに言うと、アダプティブクルーズコントロールを使えば足裏の振動も気にならない。

キャビンの遮音性の高さは現行型「A6」の大きな美点。ロードノイズや風切り音自体も小さめで、静粛性は非常に高い

出自を感じさせる中間加速の伸びのよさ

加速については、パーシャル領域から少しアクセルを踏み込むような場面だと、そつなくトルクを継ぎ足して速度を上げてくれる。一方で、グッと踏み込んだ際の反応は、“ディーゼルターボ”と聞いて寄せられる期待値に対し、少々パンチに欠ける。

12Vマイルドハイブリッドで得られるアシストは、約8PS/60N・m。資料によるとこれがエンジンアシストとして働くには約5秒間という制約が付き、さらに言うとモーターの主たる役割は“ブースター”ではないらしい。また、エンジン自体も高価な排ガス浄化装置をずらりとそろえながら、初期ブーストをさほど高めてはいないように感じる。ちなみに204PS/400N・mというアウトプットに比しての車重は1880kgで、試乗車のオプションを付けるとさらに20kg重くなる。車格を思えばまずまずとはいえ、この加速感には重さも少なからず影響しているはずである。

一方で、ある程度スピードが乗ってからもアクセルを踏み続けた際の加速は、伸びやかで大変よろしい。日本では息の長い加速を楽しむ前に制限速度に達してしまうので、「ただただ静かで乗り心地がいいクルマ」に思えてしまうのが残念だが、ヨーロッパのようにアベレージ速度が高いシチュエーションなら、そのよさがさらに引き出せそうだ。

また、このマイルドハイブリッドシステムは55~160km/hのワイドレンジでコースティング走行を行う(さらに言えば22km/h以下ではアイドリングストップをも実現する)が、メーターを注視しない限りその瞬間にはなかなか気づけない。駆動が途切れた際にも不安定さや空走感を覚えさせないのは、今日の主流であるSUVに対して重心の低いエステートモデルならではの美点と、気筒休止や駆動クラッチ断続技術が進化したおかげだろう。

2リッター直4ディーゼルターボエンジンは、最高出力204PS、最大トルク400N・mを発生。高圧用と低圧用の2つのチャンネルを持つEGRに加え、排ガスの後処理にはアンモニア酸化触媒、DPF、尿素SCRを用いている
デジタルメーターのアウディバーチャルコックピット。ナビ表示の地図の縮尺は、ステアリングに備わるロータリー式のコントローラーで簡単に調整できる
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