2020/7/16

テレワークで生産性が下がる仕事、上がる仕事

テレワークについてはさまざまな調査研究が行われていますが、これまではテレワークを行った人のみを比較した研究が主でした。この研究が画期的なのは、ランダムに学生を分け、タイピングや文字入力といった比較的単純な仕事と、文章を書くといったクリエーティブな仕事をそれぞれテレワークで行って、生産性を比較しているところです。

結果は、テレワークによって前者は6~10%生産性が落ち込み、後者は11~20%生産性が上がりました。

推測できる理由としては、単調な仕事は人と競い合うことで生産性が上がり、クリエーティブな仕事は一人で行うことで生産性が上がるということです。これは私たちの経験から納得できることでもあり、今まで何となく感じていたことが、実験によっても明らかになったといえます。こうした研究を踏まえて、テレワーク向けの業務と出勤して行う業務の区分けが、より細かく行われていくことになるかもしれません。

全ての業務がテレワークに向いているわけではない?(写真はイメージ=PIXTA)

アフターコロナに備えてビジネスパーソンがすべきことを考えてみましょう。在宅勤務などで出勤が減っている今、隙間時間を活用して仕事に役立つようなスキルを身に付けるのはもちろんですが、不確実な未来に向けたサステナブル(持続可能)な能力をより磨くために、本当にやりたいことに挑戦してみるチャンスでしょう。

「セレンディピティ」の機会をどう得るのか

今、私たちは人と会わなくなっています。それは寂しいことではありますが、プラスに捉えれば、周りと自分を比べなくて済むということです。つい同僚と自分を比べてしまって苦しい、という状態を離れ、自分にとって本当に必要なことは何かを考え、身に付けることができる時間だと感じています。

私自身は、これまでは人との偶然の出会いによって、多くの情報を収集していたことに気がつきました。例えば、交流の場でたまたま初対面の方と話したことがふとした気づきにつながる、そうしたセレンディピティ(偶然の出会いや発見)が、私にとってチャンスになっていたのです。

人と会う機会が減り、オンライン上で交流することが多くなった今は、SNS(交流サイト)上の自分のプロフィルを充実させ、フェイスブックやツイッターでこまめに意見を発信していくなど、より自分の専門性を磨いて発信することを心掛けていこうと思っています。人との交流の方法が変わっても、セレンディピティをキャッチできればいいと願っています。

崔真淑
エコノミスト/Good News and Companies代表。1983年生まれ。神戸大学経済学部卒業後、大和証券SMBC金融証券研究所(現:大和証券)へ。株式アナリストとして活動し、最年少女性アナリストとして株式解説者に抜てきされる。2012年に独立。経済学を軸にニュース・資本市場解説をメディアや大学等で行う。若年層の経済・金融リテラシー向上をミッションに掲げる。一橋大学大学院(ICS)卒業。現在は一橋大学大学院博士後期課程所属。

(取材・文 阿部祐子)

[日経ARIA 2020年5月8日付の掲載記事を基に再構成]