上半期視聴率 NHK朝ドラ、志村さんの特集が上位に
新型コロナウイルスの影響で、4月からドラマ収録やバラエティーのロケが中止になる異例の事態だったが、2020年上半期のテレビはどんなヒットが生まれたのか。1月1日~5月10日のビデオリサーチ関東地区調べのデータで、ドラマとバラエティーを各回の「平均世帯視聴率」の最高値でランキングした。ドラマで際立ったのは、NHKの連続テレビ小説の強さ。バラエティーでは、3月29日に新型コロナウイルス感染症で亡くなった志村けんさんを特集した番組が上位を占めた。


ドラマは近年の例にもれず、NHKの連続テレビ小説が強い。『エール』が1位、3月に最終回を迎えた『スカーレット』が2位となった。
『エール』では、作曲家の古関裕而をモデルとする主人公・裕一の人物像を窪田正孝が繊細に表現し、その妻の音を二階堂ふみが生き生きと演じている。心を閉ざした裕一のため音が奮闘する姿が描かれた5月7日に21.5%を記録。6月から放送は一時休止中だが、調査期間外の5月19日には番組最高の22.1%を獲得するなど、上り調子だ。
『スカーレット』は、主人公の病気の息子、武志(伊藤健太郎)が病状悪化と闘いながら新たな決意をする最終週の3月24日の回で、20.8%をマーク。同じNHKの作品では、大河ドラマ『麒麟がくる』の初回放送が19.1%で4位。
3位には、竹内涼真主演のTBS『テセウスの船』が入った。父親の冤罪(えんざい)を晴らすため、「過去を変える」タブーに挑むヒューマンミステリー。後半から視聴率が伸び始め、最終回で19.6%まで上昇した。TBSは今回健闘を見せており、やはり視聴率が後伸びした『恋はつづくよどこまでも』は最終回で15.4%となり、7位にランクイン。
このほか、定番人気の『相棒』が5位、そして4月期ドラマでは『警視庁・捜査一課長2020』が9位、『特捜9 season3』が10位と、いずれもテレビ朝日のドラマがトップ10に入った。
録画機会が多いドラマは、「タイムシフト」視聴も興味深い指標になる。ビデオリサーチでは、放送から7日(168時間)内の視聴実態をタイムシフト視聴率として公表している。こちらを最高視聴率でランキング化すると、『テセウスの船』と『恋はつづくよどこまでも』が1位と2位という結果に。そして3位には、視聴率ランキングで前編が8位に入った、フジテレビの特別企画『教場』の後編がランクインした。3位タイにはシリーズもののフジテレビ『絶対零度~未然犯罪潜入捜査~』が入っている。
志村けんさん特集がランキングの上位に

バラエティーでは、3月29日に新型コロナウイルス感染症で亡くなった志村けんさんを特集した番組がランキング上位を占める結果に。
1位は、4月4日放送の『天才!志村どうぶつ園』特別編(日本テレビ系)で27.3%の高視聴率を記録した。緊急生放送でいち早く追悼番組を放送したのはフジテレビ。ザ・ドリフターズの加藤茶、仲本工事、高木ブーらをゲストに迎えた、4月1日放送の『志村けんさん追悼特別番組 46年間笑いをありがとう』は21.9%で3位に入った。
7位の『サンデー・ジャポン』は、新型コロナウイルス関連で視聴率がアップしたケース。テレビ朝日の富川悠太アナウンサーの感染が発表された直後の生放送だったため、多くの関心が寄せられた。
2位は、19年に『世界の果てまでイッテQ!』の牙城を崩し、年間平均視聴率で1位となった『ポツンと一軒家』。視聴率は22.9%で、平時であればトップだったろう。制作する朝日放送テレビは準キー局だが、4位の『芸能人格付けチェック!』も看板コンテンツであり、全国区で存在感を示している。
8位には、ゴールデンウイーク期間に放送された日本テレビの『1億人の大質問!? 笑ってコラえて!』と『世界の果てまでイッテQ!』が同率の19.4%でランクイン。10位は、法隆寺の回の『ブラタモリ』(NHK総合)という結果になった。
(日経エンタテインメント!7月号より再構成 文・内藤 悦子)
[2020年7月4日付 日本経済新聞夕刊]
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