リモートワークは優しい? 「効率的」の先の落とし穴20代から考える出世戦略(87)

一部の流通業は逆に忙しくなりました。特にラストワンマイルと呼ばれる、通販商品の配送業者はいずれも人手不足な状況になったくらいです。

製造業では、中国など海外からの部品納入が途絶えたことからラインを止める企業が多かったのですが、交代制でなんとか50%程度の操業を維持する例を多数見ました。

IT関連はリモート化が進んだ業界です。もともとテクノロジーに強い人たちが集まっているので、リモートに対応する様々な取り組みが進みました。

一方で小売業や飲食業は、店舗を開けられなければどうしようもありません。開店時間の短縮や営業自粛などはありましたが、リモートワークとはほとんど関係しなかったといえるでしょう。

このように、リモートワークのような働き方改革は、業界や職種を俯瞰(ふかん)的に見たときに、普遍的な変革とまでは言えない様子がわかります。

実際問題、メディアがリモートワークを取り上げるたびに、そのことを苦々しく見つめていた業界や職種の人はとても多いのです。

効率よりも新しいチャンスに着目する

リモートワークを働き方改革として見てみると、「プライベートが充実するようになった」「業務に集中できた」「生産性が高まった」と肯定的な見解や、「空気感が共有できなくて働きにくい」「ストレスが増える」「パソコン作業ばかりで疲れる」といった否定的な見解の両方を目にすることができます。

けれどもそれらはどちらも、働く側の視点に基づくものです。その根底には「効率性」「生産性」などのキーワードが見えています。

しかし多くの企業は、コロナショックの状況を効率性や生産性などの視点だけで見てはいません。

たとえば一部の企業ではこの状況をもチャンスととらえ、自社のビジネスにとって最適な変革を進めようとしています。業績が悪化しつつある他社を買収するため、M&A(合併・買収)情報の収集が多くの企業で進んでいます。

また、政策金融公庫やメガバンクからの好条件での融資は、必ずしも業績が悪化している企業だけが借り入れているわけではありません。これからの打ち手を考える企業の余剰資金としても借り入れられています。

劇的な変化が起きている現状で、私たちが「働き方」の変化を考えるのは当然です。けれどももし働き方ではなく、生き方そのものを変えてゆく機会にしたいのであれば、変化を成果に変えることを考えてみてはいかがでしょう。

それは少しずつ広がり始めている、ジョブ型人事に対応するためのきっかけにもなるはずです。

平康慶浩
セレクションアンドバリエーション代表取締役、人事コンサルタント。1969年大阪生まれ。早稲田大学大学院ファイナンス研究科MBA取得。アクセンチュア、日本総合研究所をへて、2012年から現職。大企業から中小企業まで130社以上の人事評価制度改革に携わる。高度人材養成機構理事リーダーシップ開発センター長。

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