読めば心熱くなるスポーツマンガ10選 書店員が選考

近年の作品 よりリアルに

誰もがタイトルくらいは耳にしたことのある有名作品がずらりと並ぶスポーツマンガ。1960年代には「巨人の星」「あしたのジョー」「アタックNo.1」の連載がスタート。70年代は「ドカベン」「キャプテン」「エースをねらえ!」、80年代は「キャプテン翼」「タッチ」が登場した。

高度成長期は根性と努力を積み重ねる「スポ根」ものが人気。ライバルとの勝負に重きが置かれ、思いも寄らない必殺技を繰り出す作品が多い。やがて恋愛・青春、コメディーなどの要素を取り入れる作品が増え、表現の幅が広がった。

今回のランキングではさらに先、90年代後半に連載中だったか、それ以降に連載が始まった比較的新しい作品に候補を絞ってみた。キーワードは「リアル」。京都精華大学の吉村和真教授によると、近年は選手やチームを綿密に取材し、戦術や技術の変化から競技を取り巻く環境や懐事情までリアルに描く傾向が強まっているという。作品の多い野球やサッカーも監督の視点で描くもの、年俸など金銭面に注目するもの、ユース世代を舞台にするものなど設定が多彩に。

リアル志向と相まって、競技人口の少ないスポーツを題材にしたり、「ブレードガール 片脚のランナー」などパラスポーツを描いたりした作品も。上位に複数入ったように、女性主人公の作品への関心も高い。読者も男女は問わない。作品は店頭で入手しにくい場合、出版社サイトでの試し読みや電子書籍で楽しむ選択肢もある。

スポーツマンガに憧れて部活動を始めた、観戦するようになった人も多いはず。新型コロナウイルスの感染拡大はプロ、アマ、学生を問わず、スポーツ界にも影を落としている。逆境にあって奮闘する選手や関係者へのエールを胸に、スポーツマンガに心躍らせながら、試合会場で声援を思う存分送れる日を待ちたい。

■ランキングの見方 数字は専門家の評価を点数化。(1)作者名(原作など含む、敬称略)(2)出版社(3)刊行数(4)最新巻の価格(本体+税)。写真はスポーツオーソリティ、サイクルテラス(ともに幕張新都心店)の協力で三浦秀行撮影。

■調査の方法 1990年代後半に連載、またはそれ以降に連載が始まった夏季五輪種目を描く作品から、京都精華大学マンガ学部の吉村和真教授、北九州市漫画ミュージアムの表智之専門研究員、漫画家マネジメントの田中香織さんらの助言を基に34作品を候補に。書店員14人に「元気がもらえる」「競技ルールや特徴が伝わる」「リアルな描写でストーリーや登場人物が魅力的」などの観点でお薦め順に10作品ずつ挙げてもらい、編集部で集計した。

■今週の専門家 ▽犬塚冬子(有隣堂)▽神谷武之(書泉グランデ)▽黒松亜美(八重洲ブックセンター)▽坂上加奈恵(オリオン書房イオンモールむさし村山店)▽佐藤翔太(ヴィレッジヴァンガード下北沢店)▽渋谷孝(ブックファースト新宿店)▽塚本浩司(COMIC ZIN)▽土屋修一(あゆみBOOKS杉並店)▽日吉雄(漫画全巻ドットコム)▽松岡賢治(丸善お茶の水店)▽三木雄太(往来堂書店)▽美土路奈々(銀座 蔦屋書店)▽山内康裕(マンガナイトBOOKS)▽山岡江梨子(宮脇書店本店)=敬称略、五十音順

(生活情報部 河野俊)

[NIKKEIプラス1 2020年6月27日付]


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