2針、3針のシンプルな盤面にドレッシーな革ストラップを装着した時計は、ビジネスウオッチの王道。ただ、シンプルだからこそデザインの完成度や仕上げの良しあしが如実にわかるという、なかなか選び方が難しいジャンルでもある。2020年の新作からNIKKEI STYLEメンズファッション読者におすすめの8本を紹介しよう。
普段の仕事で使いやすいSSケースのドレス時計
カジュアル化が進む今どきのビジネススタイルは、デザインがあまり派手なものでなければ、ダイバーズやクロノグラフなどスポーティーな時計を着用してもおかしくない。しかし正統派スーツの袖口にはやはり、シンプルでクラシックなドレス時計が一番よく似合う。とくに袖口での見栄えが控えめなステンレススチール(SS)ケースのモデルは、誠実な印象に見せたいビジネスマンの必須アイテムといえる存在だろう。
とはいえ、あまり印象が薄いモデルを選んでしまうとスタイル全体が締まらないし、仕事に向かうモチベーションも上がらない。シンプルでありながらも、しっかりと高級時計のオーラを放つ時計を選びたい。以下、今年の新作の中から模範解答と呼べるモデルを4本紹介する。
IWC 「ポルトギーゼ・オートマティック 40」
今年、IWCの「ポルトギーゼ」ファミリーが大幅リニューアルを敢行した。ベースデザインはそのまま、多彩なラインアップの全モデルに自社製ムーブメントを搭載して、ブランドのアイコンコレクションとして一層魅力的に熟成した。その中で、より控えめな美しさのドレス時計を求める人におすすめなのがご覧の「ポルトギーゼ・オートマティック40」だ。
ポルトギーゼは高精度な懐中時計用ムーブメントを搭載して誕生したシリーズだけに大きなサイズを伝統としてきたが、今作は径40.4mmとコンパクト。しかも文字盤デザインは1939年に制作された初代の2針+スモールセコンドの構成をなぞっており、クラシックなスーツと非常に相性がいい。なおシースルーバックから鑑賞できる自社製のCal.82200は、耐摩耗性に優れたセラミック製パーツを使用したペラトン機構を備え、60時間のパワーリザーブを実現。美しく、そしてとても通好みな1本だ。
ジャガー・ルクルト 「マスター・コントロール・デイト」
ジャガー・ルクルトには「レベルソ」という傑作ドレス時計があるが、角形ケースゆえ日常的に着用するのには個性が強いと感じる人もいるだろう。そんな人にはレベルソと並ぶ基幹コレクション「マスター・コントロール」がおすすめだ。20年は、コレクション全体のデザインを細やかに刷新。ブランドロゴを小さくする一方、楔(くさび)形インデックスをより細く長く仕立て直し、よりクラシカルに洗練されたたたずまいを得た。
「マスター・コントロール・デイト」は、その中で最もシンプルな顔立ちのもの。搭載するCal.899ACは、従来積んでいた薄型の自動巻きCal.899の脱進機を大幅に改良。脱進機をシリコン化して高効率化を図ったほか、香箱(動力源となるゼンマイが入っている)も新設計してパワーリザーブは約70時間に伸びた。ちなみに50年代のアンティークのような顔立ちに、ライトブラウンのストラップでほのかにカジュアルな雰囲気を加味したのも今作のポイント。ジャケット派にもおすすめの1本だ。

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