甲羅の上の「世界」 ウミガメの背に10万もの生物

日経ナショナル ジオグラフィック社

2020/7/11
ナショナルジオグラフィック日本版

海草を食べるアカウミガメ。海底の堆積物が舞い上がることで、線虫、甲殻類、ヒドロ虫などの無数の小さなヒッチハイカーたちが甲羅に乗りこむことになる(PHOTOGRAPH BY BRIAN SKERRY, NAT GEO IMAGE COLLECTION)

アカウミガメ(Caretta caretta)は世界中の海を数千キロにわたって移動する。だが、一人で孤独な旅をするわけではない。ある研究から、アカウミガメの甲羅には驚くほど多様な小さな生きものたちが大勢乗っていることが明らかになった。

2020年5月20日付の学術誌「Diversity」に掲載された論文によると、アカウミガメは平均3万4000匹もの小型底生動物(メイオファウナ:体長0.032~1ミリの水生底生生物)を背中に乗せているという。あるアカウミガメは、線虫、甲殻類の幼生、エビなど、約15万匹もの生物を運んでいた。

「そこには文字通り『世界』があります。生物の上にこのような多様性が存在することがわかり、興奮しています」と、米フロリダ州立大学の海洋生態学者イェルーン・インゲルス氏は話す。

インゲルス氏のチームは、それまでアカウミガメなどのカメの上からは見つかっていなかった小型底生動物を100種類以上発見した。そのほとんどは線虫だ。18年6月に米フロリダ州のセントジョージ島にやってきた24匹のアカウミガメを調べたことがこの発見につながった。

インゲルス氏によると、カメにヒッチハイクしている生きものがいることは、以前からわかっていた。だが、ここまでの数と多様性があることはわかっていなかった。

一部の小型底生動物は特定の地域にしかいないので、この小さなヒッチハイカーたちを研究すれば、ウミガメの移動の追跡や今後のアカウミガメの保護に役立つかもしれない。また、微小生物がどのように海を移動しているかはよくわかっていないが、その解明につながる可能性もある。

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