国連OG、多彩に活躍 企業・大学でリーダーシップ

2020/6/30

女性への偏見や格差が潜む日本。その解消に向けて行動を起こすOGもいる。

国連軍縮研究所(UNIDIR)や国際労働機関(ILO)に勤めた小山淑子さんはその一人。現在は早稲田大学准教授だ。学生がジェンダーについて考える機会を増やそうと、20年度から設置された紛争解決に関する副専攻にジェンダー関連科目を加えるよう働きかけた。

外務省によると、18年12月末時点で国連に在職する日本人職員数(専門職以上)は全体で882人。うち女性は542人と6割をしめる。日本には教育や企業活動、地域社会の問題などSDGsを当事者として捉えることで糸口が見つかる課題も多く、国連OGへの期待も集まる。

UNDPに勤務し、現在は東京女子大准教授の安部由紀子さんは「SDGsはコミュニティー、国籍、学問領域にとらわれずに『世界のことは自分事』と捉えること」と学生に説く。「SDGsをどう生徒に教えていいかわからない」と小中高校の教師や他大学教員からの相談もあり、講師を務めるほか、出版社と共同でSDGsに関する教科書を作るなど広く活動中だ。

水野裕紀子さんはUNDP勤務後、フリーの翻訳者に転身。在職中は南太平洋のフィジーで援助プロジェクトの進捗管理にあたり、翻訳では自然エネルギーや環境に関する分野を中心に手掛けている。

だが、日本には「壁」もある。あるOGは任期を終えて日本に帰国した数年前のできごとを振り返る。ヘッドハンターに再就職先として民間企業を紹介された。しかし、「企業から『あなたはうちで順応できるのか』と聞かれて断られた」。海外でキャリアを積んだ女性を評価、受け入れられない企業文化がある。

SDGsに関心が高まる一方、「日本には貧困やジェンダーの問題は重要ではないと拒絶する人が多い」と語るOGもいる。日本の子供の貧困率は経済協力開発機構(OECD)諸国中で最も高く、指導的立場にある女性も少ない現実がある。それでも「一人ひとりが考えるべき問題と捉えられない」と、グローバルな課題に対する意識の低さを指摘する。

多角的な視点で数々の課題解決の道を探る必要に迫られる今。世界的な課題解決の実務経験がある国連OGは、その一翼を担っている。

「女性」意識しない職場を

今回取材したOG全員が、「国連在職中に女性であることを意識させられたことはあまりない」と語った。日本の企業に勤めたことのあるOGは「日本では窮屈に感じることもあった。国連には出身国やジェンダーの多様性を尊重する雰囲気があり、働きやすかった」と振り返る。

日本の指導者層は官民問わず、男性が圧倒的に多い。「国連だけではなく、海外では会議のパネリストやスピーカーを男女同数にすることが原則だ」とOGの1人は日本の状況を批判的に見る。男性はリーダー、女性はアシスタント――。性別役割への固定観念は普段、目にする「男性ばかり」の会議風景が作り上げたものでもある。リーダーシップをとる立場に女性が必ず一定数いれば、ジェンダーを巡る考え方も次第に変わっていくだろう。

(山下美菜子)

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