iDeCoは老後の資産作りに有利
iDeCoには、大きなメリットが3つあります。
1つめは、積み立てたお金(掛け金)は、全額が所得控除されること。つまり、税負担が減ります。
2つめは、運用益が非課税になること。通常では20.315%の税金がかかりますが、iDeCo内で得た運用益は非課税です。効率的にお金を増やすことができます。
3つめは、60歳以降の受取時には、税制優遇のある控除が使えること。一括で受け取る場合は「退職所得控除」、分割で受け取る場合は「公的年金等控除」の対象となります。一定額までは税金がかかりません。
では、iDeCoで運用した場合と、通常の金融商品で運用した場合、どれくらいの差が生まれるのでしょうか。たとえば、年24万円を20年間積み立て、年平均4%のリターンを得られたとします。
所得や運用益によっても異なりますが、少なくとも約195万円の差が生じます(所得330万円~695万円の会社員を想定し、税率を所得税20%・住民税10%と仮定、公的年金等控除を考慮しない場合)。上の図では20年間で試算しましたが、運用期間が長くなるほど、その差は大きくなります。
iDeCoの掛け金の上限額は、企業年金の加入状況などによって異なりますが、企業型DCだけの会社なら上限が月2万円(年24万円)。この場合、2万円を上限にiDeCoを上積みできます。
仮に、会社の掛け金が4万円の場合は、1万5000円をiDeCoで上乗せすることができます。
また、企業型DCでは、勤め先が提携している金融機関が用意する商品しか選べませんが、iDeCoでは、金融機関や運用商品を自分で選ぶことができます。運用できる商品の選択肢が広がるでしょう。自分は、iDeCo掛け金の上限がいくらまでなのかも調べておきたいものです。
さらに、22年5月以降は、iDeCoの加入可能年齢がこれまでの60歳未満から65歳未満に延長されます。受給開始年齢の上限も75歳に延びるので、非課税での運用を続ける期間が長くなります。たとえば、投資信託で運用している人が、受給開始のタイミングで価格が下落していても、そのまま運用を続けながら価格の回復を待つことも可能です。
ただし、前述した繰り上げ受給をするとiDeCoには加入することはできなくなります。
老後の資産作りのためのiDeCo。これから働き方の多様化が進んでいくでしょう。上手にiDeCoなどを活用しながら資金を作っていきましょう。
(執筆協力 瀧 健=ファイナンシャルライター)

〈訂正〉6月29日3時に掲載した「年金改革法で会社員もiDeCo拡充 繰り下げ受給も利点」の表の中で「70歳 繰り上げ受給」とあったのは「繰り下げ受給」の誤りでした。表は訂正済みです。