「医療保険は必要ない」は本当? 貯蓄ゼロの人は注意
最新のお金リテラシーが身に付く! 得するWOMAN講座
A. 貯蓄が少ない人はちゃんと考えて! 商品選びは「シンプル・イズ・ベスト」で
トクニャン(以下、トク) はじめまして、お得情報好きなネコ、トクニャンだニャ。最近アラサーの友人が体を壊して立て続けに入院しているニャン。トクニャンは医療保険入ってないんだけど……大丈夫だよね? 保険に詳しいFPの竹下さくらさんに聞いてみよ!
竹下さん(以下、竹) こんにちは、トクニャン。女性の20代後半から30代は、妊娠や出産などで、入院が増える最初の時期です。次は更年期、最後に高齢期に健康リスクの3つの山があり、保険について考えるいい機会といえます。
トク 「結婚したら医療保険に入る」っていう友人も多いニャ。
竹 今は同居してから結婚、というパターンも増えていますね。結婚前に妊娠する可能性が少しでもあるなら、その前に検討しておくのがベターです。
トク でも「高額療養費制度」があるから、手術や入院でもお金は心配ないって聞いたよ~。
竹 その通り。年齢や所得によって、1カ月の自己負担額の上限があります。例えば年収が370万~770万円の場合、月の上限は8万100円+(医療費-26万7000円)×1%で計算。自己負担が上限を超えた分は健康保険から戻る仕組みです。
トク トクニャンの年収なら、自己負担はせいぜい10万円くらいってことか。じゃあ医療保険はいらないね! お金が浮いた!
竹 ちょっと待って! トクニャンは貯蓄はしていますか?
トク してニャイ。宵越しのお金は持たない江戸っ子だから……。
貯蓄ゼロの人は「安い保険」で備えるのも手
竹 貯蓄が十分ある方なら不要なんです。でも、いざというときにまとまったお金がない可能性があるなら、何らかの備えは必要では? 特に年収が770万円以上と高いのに貯金がない人は、自己負担額も高くなるので要注意です! 共済などの、保障が期間限定である代わりに掛け金(保険料)が安い保障もひとつの手ですよ。
トク うーん、にゃるほど……。でもやっぱり掛け捨て保険料はもったいニャイ! CMでよく聞く「健康お祝い金付き」とかのほうがおトクじゃニャい?
竹 健康お祝い金や、「満期になれば全額戻る」に引かれるのも分かりますが、その分保険料は高くなるので、計算するとお得ともいえないですよ!
トク じゃあ、どうやって選べばいいのかニャ?
竹 覚えていただきたいのは、保険は「シンプル・イズ・ベスト」だということ。特約をたくさん付けると保険料がアップするだけでなく「どんな場合に保険金が支払われるのか」きちんと理解できないことも。そうすると、いざというときに保険金を請求できません。あとは、自分の収入から保険料の「予算」を決めるのも大事ですね。
トク 「保険料ビンボー」になりたくないもんね。
竹 月の保険料は大体、手取り月収の5%に収めると考えてください。注意したいのは、生命保険、医療保険、自動車保険……すべての保険を合わせて5%以内ということ。もし、それ以上支払っているようなら、見直したほうがいいでしょう。
トク 見直しかー。そういえば、トクニャンのお姉ちゃん(既婚・アラフォー)、独身時代から同じ医療保険に15年入りっ放しって言ってたなあ。「手術給付金10万円・入院5日目から日額5000円」っていうの。
竹 それはちょっと古い保険ですね。最近は入院日数が短期化しているので、いざというときに役立たないかも。今は、通院給付金や一時金を支払う保険が増えているので、掛け替えも選択肢です。ただし、新しい保険に加入し終わる前に、古いほうを解約しちゃダメですよ!
この人に聞きました
ファイナンシャルプランナー。保険会社を経て1998年にFPとして独立。著書に『「保険に入ろうかな」と思ったときにまず読む本』(日本経済新聞出版社)など。
(取材・文 澤田聡子、イラスト おおの麻里)
[日経ウーマン 2020年5月号の記事を再構成]
ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
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