あなたの「のど年齢」知ってる? 老化は肺炎を招く
この記事では、今知っておきたい健康や医療の知識をQ&A形式で紹介します。ぜひ今日からのセルフケアにお役立てください!
(1)一定時間内に唾液を飲み込める回数を数える
(2)声を出し続けられる時間を計る
(3)食事にかかる時間を計る
答えは次ページ
答えと解説
正解は、(1)一定時間内に唾液を飲み込める回数を数えると(2)声を出し続けられる時間を計るです。
誤嚥性肺炎とは飲食物や唾液などが気道に入り、そこに含まれていた細菌によって起こる肺炎のことです。主な原因菌は上気道にいる細菌、具体的には鼻やのどにすみ着いている肺炎球菌や口腔内の常在菌である嫌気性菌などです。
近年、高齢者の誤嚥性肺炎が増えています。肺炎・呼吸器疾患のエキスパートとしてテレビなどでもおなじみの池袋大谷クリニック院長の大谷義夫さんは、「誤嚥性肺炎は高齢者に多く、高齢者の肺炎の7割以上が誤嚥性肺炎と考えられます」と話します。
その誤嚥性肺炎の原因の1つとして、近年「のどの老化」が指摘されるようになりました。「のどの筋力の低下と唾液の分泌が減ることによって、飲み込む力(嚥下反射)や咳をして異物を気道から出す力(咳反射)が衰え、誤嚥を起こしやすくなります」と大谷さん。
実際、のどの老化が進み、誤嚥を起こしやすくなるのを心配する人は少なくないでしょう。では、「のどの老化度」はどうすれば分かるのでしょうか。大谷さんは、反復唾液嚥下テスト、いわゆる「ゴックンテスト」を試すことを勧めます。
「このテストは実際の診療でも行われています。やり方は非常に簡単。まず水を一口飲んで口の中を湿らせてから、『30秒間に何回唾液を飲み込めるか(空嚥下回数)』を見るだけです。若い人は10回くらいできるのですが、年を取ると筋力が衰え、唾液の分泌も減るため回数をこなすのが難しくなっていきます」(大谷さん)。
実際、大谷さんのクリニックを受診した患者さんたちにお願いして、各年代約50人ずつにゴックンテストをやってもらったところ、平均回数は20代で9.8回、30代で8.8回、40代で7.8回、50代で7.0回、60代で6.1回、70代で5.2回という結果が出ました。
「このゴックンテストをやれば、おおよその自分の『のど年齢』が分かります。のど年齢が70代以上、つまり30秒間で5回以下になると誤嚥性肺炎のリスクが高くなります。実際、高齢になると食事中にむせることも増えていきます。自分で気付かない誤嚥(不顕性誤嚥)も同じように増えるのだと考えてください」(大谷さん)。
このほか、声帯の筋力と息を吐く力を調べる『あー』テストでチェックする方法もあると大谷さん。「息を思い切り吸い込んでから、『あー』と声を出して何秒間続けられるかを計ってください。『男性で15秒以上』『女性で10秒以上』できれば大丈夫ですが、それ以下だと問題があります。発声と嚥下はほぼ同じ筋肉を使っているので、声を出す力が弱くなると飲み込む力も弱くなります」(大谷さん)。
[日経Gooday2020年5月25日付記事を再構成]
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