外食派も自炊に転向したくなる 家電で簡単、本格薫製

ジャーナリストの津田大介氏が、興味のあるモノやサービスを取り上げる本連載。今回取り上げるパナソニック「けむらん亭」は、自宅で簡単に本格的な薫製料理が作れる調理家電だ。津田氏は新型コロナウイルス感染症予防のため、在宅ワークが続いたときに、食材を薫製しながらお酒を楽しんでいたそうだ。
薫製するだけでスーパーのカマンベールチーズが絶品に
在宅ワーク期間中に前回の「BONIQ Pro」(記事 津田大介も納得の味 低温調理器「BONIQ Pro」参照)と合わせて試してみたかったのが、薫製の調理家電だ。パナソニックの「けむらん亭」は臭いが出にくく、部屋で手軽に薫製が作れるということで、休日に家飲みをするときに使ってみた。
基本的にはスモークチップとアルミホイル、材料を用意して薫製をするだけ。最初に試したのが、あるブログで紹介されていた「究極のカマンベールチーズ」だ。底の容器に、買ってきた「ヒッコリー」という薫製チップ(他にも、サクラやクルミなどの種類がある)を10グラム入れ、アルミホイルを敷いた網を載せて、カマンベールチーズを2つ置く。最後にアルミホイルで包んだら準備完了。後はスイッチを押して15分ほど薫製したら、1時間常温で冷まして完成だ。





実際に食べてみると、とにかく香りが良く、中のチーズがとろけて絶品だった。僕はカマンベールチーズが好物というわけではないが、これを食べたら他の食材も全部薫製にしてみたくなったほどだ。他に特においしかったのがハンバーグ。合いびき肉に塩・砂糖・黒こしょう・一味唐辛子を混ぜて形を整えたら、3時間ほど冷蔵庫で寝かせて16分薫製したところ、本格的なバルで出てくるような味わいを楽しめた。
本格的な薫製料理が手軽に作れる
今回、お酒を飲みながらけむらん亭で料理をしてみたが、10分ほどで完成するメニューも多く、実にいいタイミングでつまみが出来上がる。勢いに乗ってたくさん作ったので、チップよりもアルミホイルが無くなってしまわないか、心配になったほどだ。



ハンバーグは多少の下ごしらえが必要だったが、鶏のささみや、たらこなどは、食材を入れるだけで香り付けされて、いつもと違った味わいになる。他には、ツナ缶を薫製してトマトパスタとあえて食べたのが絶品だった。今回は試していないが、チルドギョーザを入れてもいいそうで、いずれ試してみたい。
一番心配していたのは薫製の臭いだが、「けむらん亭」というだけあって、使っている途中でもそれほど感じなかった。完成して取り出す際に若干広がるくらいだ。通常の薫製機だと、1週間くらい臭いが取れないこともあるようだが、換気扇の近くで使用すれば全く問題ないだろう。
唯一気になったのはサイズだ。外寸は45センチ(幅)×35.5センチ(奥行き)×18.5センチ(高さ)で、使わないときにキッチンの上に置いておくと場所を取るだろう。
自炊の幅を広げてくれる機能特化した調理家電

新型コロナウイルスの感染拡大に伴う自粛期間中にSNSを見たら、家で自炊を始めた人が増えたことを実感した。この機会にケーキなど時間がかかるお菓子作りにチャレンジする人も多く、スーパーでは小麦粉が品薄になったようだ。
僕も以前は外食中心だったが、前回のBONIQ Proと、今回、けむらん亭という調理家電を試してみて、とにかく気に入ったのはどちらも簡単に作れること。気軽に使える上に、料理に慣れていない人にはハードルが高い準備や後片付けも楽なので、新型コロナ収束後に元の生活に戻っても、長く活躍してくれそうだ。普段から自炊している人も、料理の幅を広げられるだろう。スーパーで買った食材が調理家電を使うだけで、レストランで出てくるような本格的な味になるのは驚いたし、人気があるのも納得できる。
自炊ブームの高まりとともに、「低温調理」や「薫製」といった、ひとつの機能に特化した調理家電の人気も上がっていきそうだと実際に使いながら感じた。
ジャーナリスト/メディア・アクティビスト。「ポリタス」編集長。メディア、ジャーナリズム、IT・ネットサービス、コンテンツビジネス、著作権問題などを専門分野に執筆活動を行う。近著に「情報戦争を生き抜く」(朝日新書)。
(構成 藤原達矢=アバンギャルド)
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