飲食店、「持ち味」磨け ミクニ流リスク管理の極意

「オテル・ドゥ・ミクニ」のオーナーシェフ、三国清三氏
「オテル・ドゥ・ミクニ」のオーナーシェフ、三国清三氏

新型コロナウイルスの感染拡大に伴う休業要請などで、飲食店の多くが今、苦境にあえいでいる。緊急事態宣言の解除で営業再開はしたものの、創業35年の老舗フランス料理レストラン「オテル・ドゥ・ミクニ」(東京・四ツ谷)もその例外ではない。それでも東日本大震災など過去に直面した危機を何度も乗り越えた経験がある。コロナ禍にもしっかりと向き合い、打開策の考案に余念がない。オーナーシェフ、三国清三氏にリスクマネジメントの要諦を聞いた。

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「振り返ると、ほぼ10年おきにうちの店は危機に見舞われてきた」と三国シェフはいう。

今から約10年前の2011年には東日本大震災と東京電力福島第1原子力発電所の事故に見舞われた。約20年前の2003年には「ミクニマルノウチ」(東京・千代田)を舞台にした「食中毒」騒動が起き、それからさらに10年前は「バブルの崩壊」である。

リーマン・ショック(2008年)なども含め、危機に直面する度、客足は落ち込んだが、時間の経過とともに、客足は回復。結果的に従業員の雇用や売り上げを確保し、創業以来、赤字を出さずにやってきた。

だが、今回ばかりは様相が違う。4月から約2カ月もの長期の間、休業を余儀なくされた経験は過去、一度もない。新型コロナウイルスの感染者や死者が世界中に一気に増えた今回のコロナ禍は「まさに前代未聞。見えない敵相手の戦争のよう」と語ってやまない。

バブル崩壊でも店舗拡大

オテル・ドゥ・ミクニの創業は1985年。三国シェフが30歳の時で、時はまさにバブル経済のはしりの時期。その翌年には「一億総グルメブーム」が起き、料理人が活躍するテレビのバラエティー番組などが人気を博す時代が続く。

右肩上がりできた経済が一気に崩壊し、バブル崩壊を迎えた1993年。その際のピンチを克服した三国シェフの手法がおもしろい。

「オテル・ドゥ・ミクニの隣にあった建物付きの不動産が売りに出されたので、即座に購入を決断。それまでの店舗面積を一気に3倍に拡大しようとした矢先のタイミングでのバブル崩壊でした。レストランや高級飲食店がバタバタと閉店していく中で、うちの『店舗拡大』が逆に話題を呼んだ。マスコミに取り上げられ、それで来店してくれた人たちのおかげで、何とか苦境を乗り切ることができた」と振り返る。

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