42歳で乳がん発症 10年先の未来目指して迎えた愛犬

日経ARIA

乳がん治療後の目標に、もう1匹迎えることを決意

手術に伴う入院は11日間。担当する講座は事前に調整したので仕事を休むこともなかったそうですが、手術前に通院で受けた抗がん剤治療では毎回、骨髄抑制といわれる副作用が出る時期には家でじっとしていなければいけませんでした。そんなとき、一人暮らしの土屋さんにとって大きな慰めになったのがルークくんです。「私が寝ていると大体頭の上や肩口にくっついていたので、だるいときにルークをなでながら過ごせたことはありがたかったです」

一通り治療を終えたとき、土屋さんはもう1匹、犬を迎えることを考えます。「当時ルークがもう10歳になる段階だったので、この子がいなくなったら自分の精神状態はまずいことになるのではと思ったのが1つ。あともう1つは、今後5年、10年生きていくという覚悟を持つに当たって、これから飼う子を見送るまでは頑張らないと、という気持ちになっていいかなと思いました」

闘病中の1年間を、「楽しかったです」と笑う超ポジティブ思考の土屋さん。「それまで生きてきてやりたいことも大概やったし、もう『新しい何か』ってないのかな、くらいの気分でいたんです。それが、がんになったら初めてのことだらけ。『これが噂の手術同意書ってやつですか!』みたいな(笑)。まだまだ人生捨てたもんじゃないなと思いました」

老齢に差し掛かったルークくんにとって子犬との同居は負担が大きいだろうと、あえて成犬を探した土屋さん。そこで出会ったのが、1歳になっていたダンクくんでした。ルークくんを連れてブリーダーのところへ顔合わせに行くと、相性も悪くなさそうな様子。「一緒に遊ばせてみると、ダンクはすごく下手(したて)に出る感じで、『あ、これはルークをいたわれる子だな』と思ったんです。でも今思うと、ダンクにだまされたかもしれません(笑)」

庭で遊びたいな…

しょっちゅう小競り合い、でも土屋さんの留守中は…

というのもダンクくん、実際に暮らしてみると実はとっても甘えん坊のかまってちゃんであることが発覚。「ルークはひとりでマイペースに過ごすのが好きな性格。寝ているところにダンクが駆け寄って拒絶されて、みたいな小競り合いはしょっちゅうでした。食事のときもダンクはルークのご飯を横取りしようとするんですよ。それでまず先にルークに食べさせてダンクは待たせることにしたのですが、ルークが食べているご飯がぽろっと落ちたりすると、ダンクが必死で取ろうと近づくんです。それにルークが怒って。もう大変です」

そんなふうにもめることも多い2匹でしたが、土屋さんが留守中の様子が見られるペットカメラには、ぴったりくっついて過ごす様子が。「別々のベッドがあるのにわざわざ一緒に寝ていたりするんですよね。そういうのを見ると、2匹になってよかったなと安心しました」

ルークくんとのお別れは今のシェアハウスに引っ越してきてわずか3カ月後。体調を崩してからあっという間のことでしたが、家でみとることができました。「ルークがいなくなった直後、ダンクはルークが寝ていたベッドにずっといたりしてちょっと不安定になっていたので、なるべく離れないようにしていました」。そう話す土屋さんにとっても、ダンクくんがいてくれたことが心の支えになりました。

「以前ルークが尿路結石症になって以降、ルークとダンクに手作りのごはんをあげることが多くなっていたのですが、ルークがいなくなった後も、つい2匹分作ってしまっていたんですね。誰も食べてくれる子がいなかったらたぶん激しく落ち込んだと思いますが、ダンクのおかげでそうならずに済みました」

●お気に入りの時間

背中の肉をつかんでもみもみしてもらうマッサージがダンクくんの至福の時間
自室のベッドでくつろいで本を読んでいると、ダンクくんもベッドの上へ。土屋さんの腕枕でそのまま寝てしまうことも
ダンクくんはお出掛けが大好き。土屋さんは金沢さん親子と一緒にオートキャンプに行くことが多いそう(土屋さん提供)
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