コカ・コーラもレモンで酒類参入 飲料・上半期ヒット20年上半期ヒット&下半期ブレイク予測

日経トレンディ

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日経トレンディは6月号で「20年上半期ヒット大賞&下半期ブレイク予測」という特集を組んだ。本日はその中から「飲料」分野について紹介する。

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20年上半期、華麗なスタートダッシュを見せたのは、コカ・コーラ初の酒類商品「檸檬堂」だ。レモンサワー専門のブランドで、味やアルコール度数の異なる4種をそろえるという突き抜けた商品設計が奏功。19年10月に全国発売した直後から爆発的に売れ、各地で入手困難となった。日経POS情報による19年10月~20年3月のチューハイのランキングのうち、350ミリリットル缶に絞ると2、3位に檸檬堂が入る。出荷休止していたことを鑑みると、驚異的な売れ方だ。他にも、個性派レモンサワーが好調。宝酒造が製造するローソン限定発売の「レモンサワースクワッド」は、レモンサワー好きで有名なEXILEメンバーが監修。累計販売本数は、約1カ月で100万本を突破した。

レモンブームは、ソフトドリンクにも到達している。「キレートレモン」などが主力商品であるポッカサッポロフード&ビバレッジは、19年にレモネード専門ブランドの「LEMON MADE」を立ち上げ、1~3月のレモン系飲料事業の売り上げは前年比148%で推移。今夏は、キリンレモンブランドから人工甘味料も使わない無糖炭酸が発売になり、健康志向の人もこのブームに乗りそうだ。

●【2020年上半期ヒット大賞】コカ・コーラ初の酒ブランドが成功

「檸檬堂」(日本コカ・コーラ)

コカ・コーラが世界に先駆け日本で酒類に進出。風味や度数が異なるレモンサワー4種をそろえ、飲み比べたい気持ちをかき立てた。18年に九州で行った限定発売が好評で、19年10月には全国発売(沖縄は除く)。生産が追い付かず1月には一時出荷休止した。

●【上半期ヒット】EXILE公認のレモンサワー 

「レモンサワースクワッド」(LDH・ローソン・宝酒造)

メーカー、コンビニ、エンタメ企業という異色の共同開発。レモンサワー好きなEXILEメンバーが監修したことが若年層の共感を呼び、発売後1カ月で100万本を達成。3カ月で累計215万本以上を販売した。

●【これもヒット】レモネードも好調 

「LEMON MADE レモネードソーダ」(ポッカサッポロフード&ビバレッジ)

レモネードの新ブランド。19年6月発売のレモネードの好調を受け、同年9月に炭酸飲料を追加。ポッカサッポロのレモン系飲料事業の売り上げが前年比約1.5倍に(20年1~3月)。

●【下半期ヒット予測】無糖炭酸水もレモンの風味勝負

「キリンレモン スパークリング 無糖」(キリンビバレッジ)

「キリンレモン」ブランドが、次は無糖炭酸に挑戦。無糖炭酸は健康志向を背景に成長を続ける分野だが、「既存商品に満足できない人はいる」(キリンビバレッジ)。瀬戸内レモンエキスを使用したレモンの味わいを売りにする独自性で、新たなニーズを喚起しそうだ。20年6月2日発売。

乳酸菌入り「水」も新定番に

新型コロナの影響によって免疫力が注目される中、伸長したのは新タイプの乳酸菌ドリンクだ。キリン、小岩井乳業、協和発酵バイオが共同研究している「プラズマ乳酸菌」が入った飲料ブランド「iMUSE」は、甘くない「水」をラインアップに加えた。20年1月発売後、初週に3カ月分の販売予定を突破した。既存品も新型コロナ問題が持ち上がってから伸び、「ブランド全体の20年1~3月上旬の出荷が前年比6倍以上」(キリン)となった。大塚製薬独自の「乳酸菌B240」を配合した「ボディメンテ」も新型コロナ問題以降顕著に注目が集まり、「20年1~3月は前年比2倍の売り上げ」(大塚製薬)となった。常温保存が可能で水代わりに飲める乳酸菌ドリンクは、今後も成長する余地が十分にある。

たんぱく質を植物系に置き換える健康トレンドは、飲料分野でも見られる。江崎グリコのアーモンドミルク「アーモンド効果」はリニューアルを経てさらに伸び、スターバックスコーヒーでは、ラテのミルクをオーツミルクに替えた新商品が人気に。下半期は、アサヒ飲料から豆乳を原料とした新しい「カルピス」が発売される。

●【上半期ヒット】無糖の「水」で乳酸菌摂取

「キリン iMUSE 水」(キリンビバレッジ)

キリングループオリジナルの素材「プラズマ乳酸菌」を使った「iMUSE」の新商品が好調。ほぼ無味の水タイプなのに乳酸菌入りというのが斬新。既存のレモンヨーグルト味は女性に売れているが、「30代以上の男性に受け入れられた」(キリンビバレッジ)。ブランド全体は20年1~3月に前年比6倍に成長。日常的に乳酸菌を取りたい人の選択肢となった。

●【上半期ヒット】体調管理目的で注目。売り上げが倍に

「ボディメンテ ドリンク」(大塚製薬)

独自の乳酸菌B240を電解質と同時に取れる飲料。新型コロナ問題で注目が集まり、「20年1~3月は売り上げが2倍以上に伸びた」(大塚製薬)。タクシー会社フジタクシーグループが乗務員に同商品を配布するなど、企業からの引き合いも。若手俳優の宮沢氷魚を起用した新CMも話題になった。

●【下半期ヒット予測】乳成分を使わない新しいカルピス

「GREEN CALPIS」(アサヒ飲料)

「植物系たんぱく質」の波は、定番品にも押し寄せている。豆乳を発酵させる製法の「グリーンカルピス」が19年4月に発売になった。19年に100周年を迎えたカルピスブランド初となる、乳成分フリーの商品だ。コレステロールゼロ、1本当たり99kcalという設計により、健康志向の層を狙う。

●【上半期ヒット】リニューアルが成功し目標比250%

「アーモンド効果TASTY」(江崎グリコ)

2ケタ増が続くアーモンドミルク市場で、トップシェアを持つ「アーモンド効果」。ラインアップを拡充する中で、チルドタイプの「TASTY」は20年3月に大幅リニューアル。江崎グリコ独自の「凍結粉砕アーモンド」を使用し、より濃厚にアーモンドを味わえるように改良した。中身が見えるパッケージも好評。「働く女性に好評で、20年3月は目標比250%出荷予定」(同社)。

新ブランドの投入が続く第3のビール

増税後を象徴するのが、第3のビールの元気さだ。18年以降、キリン「本麒麟」の躍進が続く中、19年にはサントリー「金麦」のリニューアルが成功し、キリンの「のどごし〈生〉」から首位を奪う番狂わせが起きた。そこに他の2社が、新ブランドを果敢に立ち上げている。サッポロビールは20年2月に「ゴールドスター」を投入、発売後約1カ月で100万ケースの販売を突破。アサヒビールは20年3月に「アサヒ ザ・リッチ」を発売。いずれもビールにひけをとらない本格派の味わいを目指し、本麒麟に真っ向勝負を挑む。20年10月には酒税法改正があり第3のビールの税率が上がる。その前に市場を制覇したい各社の「夏の陣」はこれからだ。

●【上半期ヒット】サッポロ2大ブランドが手を組む

「ゴールドスター」(サッポロビール)

サッポロビールの2大ブランドの技術をつぎこんだ第3のビールが好発進。縮小するビール市場の中で成長を続ける「黒ラベル」の麦芽を使用。さらに「ヱビス」のドイツバイエルン産アロマホップを一部使用し、両ブランドの製造方式を採用する。年間350万ケースを目標とする中で、1カ月で100万ケースを達成。

●【下半期ヒット予測】「贅沢」をとことん極めた製法

「アサヒ ザ・リッチ」(アサヒビール)

「プレミアムビールのような贅沢さ」がコンセプト。アサヒビールの第3のビールのなかでは、最大級の原麦汁エキス濃度で、チェコ・ザーツ産のファインアロマホップを一部使用。醸造の工程で初めて「微煮沸製法」を採用し麦の香りを生かすという徹底ぶりだ。

●【上半期ヒット】大人向け濃厚ファンタが好調

「ファンタ プレミアグレープ」(日本コカ・コーラ)

「ファンタ」が大人向けに変身した。ブドウのピューレをぜいたくに使い、果汁13%と高めながら強い炭酸の刺激もキープ。過去10年間のファンタ新製品で最高の売り上げを達成。

●【下半期ヒット予測】マイボトル派には至れり尽くせり

「ボトルにポン」(伊藤園)

「脱プラ」向きのティーバッグ。水に漬けっぱなしにしても苦みが出にくく、飲み終わったら水やお湯を継ぎ足せる親切設計だ。トレンドの細長いボトルにも入れやすいスティック形状。麦茶12袋で300円(税別)と経済的

●【下半期ヒット予測】ジンが「宅飲み」定番酒に仲間入りの予感

サントリージャパニーズジン「翠(SUI)」(サントリー)

ユズ・緑茶・ショウガの和素材を使ったジンで、食事との相性の良さが特徴。シンプルなソーダ割りの他、すりおろしショウガやユズと合わせるなどアレンジもしやすく、「巣ごもり」ニーズに合う。発売後、約3週間で年間販売計画の3分の1に当たる1万ケースを販売。

●【下半期ヒット予測】若年層を狙う新感覚ビアカクテル

「BEER DROPS」(アサヒビール)

アサヒビール、大日本印刷、FULLLIFEのオープンイノベーションで生まれた、若年層向けビアカクテルの提案。FULLLIFEの独自技術による溶けにくい果汁氷をビールに入れ、果物のフルーティさが徐々にビールに広がるのを楽しめる。飲食店での新しいビールの飲み方を訴求する。

●【下半期ヒット予測】ホップ×ワインで飲みやすい味

「メーカーズレシピ スパークリングウィズホップ」(メルシャン)

メルシャンのワイン醸造技術に、キリンビールのホップ技術を掛け合わせた新しい味わいのスパークリングワイン。ホップの香りにより、飲みやすいワインになるという。ホームパーティを盛り上げる選択肢になりそうだ。20年6月2日発売。

[日経トレンディ2020年6月号の記事を再構成]

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