就職氷河期に教訓 人口減をチャンスに変える方策とは『子供が消えゆく国』

人手不足を逆手にとってチャンスに変える方策を考える
人手不足を逆手にとってチャンスに変える方策を考える

 日本で生まれてくる子供の数が減り続けている。少子化の流れに歯止めのかからない今、若い世代が豊かさを享受できる社会をどうつくっていけばよいのか――。今回紹介する『子供が消えゆく国』は、少子高齢化による人手不足を逆手にとってチャンスに変える方策を考えた一冊だ。地方再生と人口問題に詳しいシンクタンク研究者が、人口減少の中でも生産性の向上につなげていく社会・経済改革の道筋を示した。

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藤波匠氏

 藤波匠氏は日本総合研究所の調査部で、上席主任研究員として活躍しています。地方再生や人口問題をテーマに研究とコンサルティングを行っています。1992年に東京農工大学の農学研究科環境保護学専攻修士課程を修了。同年、東芝に入社しました。その後、99年に、さくら総合研究所に入社します。2001年には日本総合研究所調査部に移籍し、山梨総合研究所出向を経て08年に復職しました。著書に『「北の国から」で読む日本社会』『人口減が地方を強くする』『地方都市再生論』があります。

経済成長を諦めない

日本の人口減少はここ数年、加速しています。生まれてくる子供の数が減り続けている「自然減」が主因です。日本の出生数は、「団塊ジュニア」と言われる世代が誕生した1973年に209万人を記録して以降、ほぼ一貫して減少傾向をたどっています。19年の人口動態統計の年間推計によると、日本人の国内出生数は86万4千人でした。前年に比べ約6%の減少で、1899年の統計開始以来、初めて90万人を割り込みました。人口減少が当面続くという前提で、「では、どうすれば日本経済の生産性を向上できるのか」というのが著者の問題意識です。

 本書が目指すのは、「次世代が、先を生きる世代よりも、少しずつでもいいから豊かになる」という、人間社会の発展過程における至極まっとうな国のあり方を提示することです。そのためには、生産性向上にもとづく経済成長は不可欠であり、そのもとで世代間格差の解消を果たすという、バブル崩壊以降の30年近い年月をかけてもなお達成できていない解決困難な課題を乗り越えていかなければなりません。
(はじめに 13ページ)

内需依存では生き残れない

著者は、政府や自治体による少子化対策には、大きく2つの「誤解」があると指摘します。まず、少子化による人手不足を「高齢者・女性・外国人」に頼って乗り切る発想には限界があると指摘します(第2章)。高齢者と女性に関しては、すでに働く意思のある人材のかなりの部分が労働力市場に出ていて、今後も増え続けることは難しいと見ます。

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