ルノー・トゥインゴS 笑顔呼ぶ操作性、MT車に浸る

2020/6/28
ルノーのコンパクトカー「トゥインゴ」のマニュアル車を試乗した((写真:郡大二郎、以下同)
ルノーのコンパクトカー「トゥインゴ」のマニュアル車を試乗した((写真:郡大二郎、以下同)
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ルノーのコンパクトカー「トゥインゴ」には、売れ筋のAT車以外にMT車もラインナップされている。マイナーかつマニアックなモデルなのは確かだが、せっせとレバーを操作して走らせたなら、誰でも笑顔になるだろう。

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試乗車を預かってからすぐ首都高速に乗った。中央道に向かう4号新宿線。代々木のカーブのあたりはちょっとしたワインディングロードで、マニュアルのトゥインゴは早くも真骨頂を見せてくれる。

5速トップから4速にシフトダウン。最後の90度左カーブでは回転を合わせて3速まで落とす。前を走っているプリウスはブレーキランプを光らせているだけだが、こっちはいろいろやることがあって忙しい。それをいとわず「楽しい」と思える人のクルマがマニュアル(MT)だ。

最近、たまーにMT車の試乗があると、走り始めてすぐ、「うわッ、おそ!」と思うことがある。すぐに気づく。そうだ、自分でシフトアップするんだった! アクセルを踏めば無限に加速してゆくATに体がすっかりなじんで(ナマって)いるわけである。しかもATは日進月歩でどんどん速くなり、MTはどんどん置き去りにされてゆく。そんな現存MTモデルのなかでも、「トゥインゴS」は最もマニュアル度の高いクルマだと思う。

2014年にRR(リアエンジン・リアドライブ)の小型車としてデビューした3代目「トゥインゴ」。国内では、2019年8月からマイナーチェンジ版が発売され、2020年2月にはMT車「トゥインゴS」が追加された

初心者にもやさしいMT車

5段MTを備えるベーシックトゥインゴがS(179万円)である。日本だと販売の8割以上を占める2ペダルモデル(デュアルクラッチ式6段自動MT)は3気筒897ccターボだが、こちらは自然吸気の3気筒997cc。エンジンから違うので、売れ筋の「EDC」より20万円以上安い。以前あった「ゼン」を引き継ぐエントリーモデルである。

897ccターボ+5MTの「GT」は2019年のマイナーチェンジで生産終了となり、日本での在庫もなくなったという。それに代わってSを品ぞろえするのはMTユーザーフレンドリーなルノー・ジャポンならではだろう。

「トゥインゴS」のキモとなる5段MTのシフトレバー。シフトパターンはオーソドックスだが、滑り止めの装飾を施すなどノブのデザインは凝っている

いまのMT車はギアの位置にかかわらずクラッチペダルを最奥部まで踏み込まないとエンジンがかからないが、ルノーはNに入っていればクラッチを踏まなくても始動する。勾配路でブレーキペダルから足を離しても、数秒間、制動力を維持してくれる坂道発進アシスト機構が付いている。仮にエンストさせてもすぐにクラッチを踏み込めば再始動する。これも最近のMT車では一般的だが、何秒かのタイマーを入れているクルマも多いなか、トゥインゴはエンストさせてから2分くらい放っておいてもかかった。

クラッチペダルは軽い。シフトリンケージはリアのエンジンルームまで長い旅をするから、シフトタッチはややモゾモゾしているが、レバーの操作感は軽い。アクセルとブレーキペダルの段差が小さいので、ヒール&トーはとてもやりやすい。右ハンドル化された欧州コンパクトカーにありがちなペダルのオフセットはなく、自然なドライビングポジションがとれる。MT初心者にやさしいMT車である。

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