危機で見える、店のデジタル力 平常時の蓄積が生む差「コロナが変える小売業」(上) ECエバンジェリスト 川添隆氏

「コロナは時代を早送りした」と表現する人もいます。まだまだ先だと思っていた未来が少し早く訪れたという意味です。未来を見据えて平常時からチャレンジを続けてきた企業は今、社会の変化に対応できているだけでなく、新たなチャンスをつかもうとしています。

緊急事態宣言の解除以降、新たな運営方法で店舗営業をしていく第2フェーズ(小売りにおける「ニューノーマル」)に入っていくでしょう。それに向けた新しいチャレンジに、今から取り組むべきではないでしょうか。

平常時における「チャレンジ」とは?

小売業の未来を見据え、平常時から「チャレンジ」していた企業は具体的に、どんなことをしていたのでしょうか。

小売業だけでなく、メーカーや生産工場でも「オムニチャネル」、さらには「OMO」(オンライン・マージズ・ウィズ・オフライン)を推進する必要性が大きく増したのは、2019年だったのではないかと私は見ています。昨年は「そんなこと考えていなかった」という企業でも、経営陣の鶴の一声で局面が変わり、様々な企業で新しいチャレンジが見られました。そして、それらにスピーディーに取り組んだ企業がコロナ禍でも事業を滞らせることなく、顧客の要望にも継続的に対応しています。

オムニチャネルやOMOにスピーディーに取り組んだ企業は実務として、どこから着手したのか?

最初に着手するのは、ずばり「人材確保」と「チームづくり」です。

オムニチャネル推進では、最低限下記のような項目を全て理解することが求められます。

・顧客の課題は何か?
・顧客に求められているものは何か?(商品サービスレベルなど)
・社内の組織や商流がどうなっているか?
・自社の強みが何か?

さらに、上記をかみ砕いてアクションに移していきます。そのためには、リーダーシップが必須なうえに、個人やチームの力も求められます。

私が自身のこれまでの経験で学んだ、オムニチャネル完成へのステップには、次の6段階があります。

1.店舗もECも理解できる人材確保とチームづくり
2.自社EC(ECが向かない場合はブランドと顧客がつながるデジタル上の場)の強化と規模拡大
3.ECと店舗のサービス同期、サービス面でのチャネル間の連携
4.テクノロジーの活用、プラットフォーム構築
5.物流改革/MDや人事など関連部署の巻き込み
6.接客での活用

このステップで推進をしていくことをお勧めしていますが、1点注意していただきたいのは、同時並行で進めることはできても、順番を飛ばすことはNGだということです。「人材確保」や「チームづくり」を含めて、オムニチャネル化には一定の時間を要することを忘れないでください。緊急事態が起こってから準備するのでは間に合いません。平常時から「チャレンジ」をしている企業が強い要因はここにあるのです。

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