日産ゴーン事件の全容に迫る 取材班や弁護士が出版八重洲ブックセンター本店

本人の生い立ちや変節に迫る

売れ行き2番手に付けたのは、同ランキング9位だったフランス人記者による一冊。こちらは事件というより、その主役たる人物の半生に焦点を当てる。事件に至る経緯もさることながら、どんな生い立ちなのか、家族や友人、同僚との関係は……。父親が死刑判決を受けたことが明かされ、日産の再生に成功したあとどこから変調が始まったのかも丹念な取材で明らかにされる。日本の関係者はもちろん、フランスやレバノンで関わりのあった人々の証言まで織り交ぜて立体的に語られるゴーン像が印象的だ。

郷原氏の本は4月刊行で、先週の段階では20位まで集計しているランキング外だったが、保釈中のゴーン被告に計5回10時間にわたって行われたインタビューが読みどころになる。この事件に対するゴーン被告の見方や無罪の主張に、日本の司法制度や検察のやり方には大きな問題があるという郷原氏の問題意識が共振した形で展開する。ほかの2冊とはずいぶん趣を異にするが、本人の主張と肉声を知る上では貴重な内容だ。

同書店ではこの3冊を、1階入り口にあるメインの平台にそれぞれ4列ずつ並べて平積みしていた。「大きな事件だっただけに、当たり前に読者の関心が向いているようだ。3冊続けて出たことも相乗効果になっている」とビジネス書を担当する川原敏治さんは話す。

『コロナショック・サバイバル』が1位

それでは先週のベスト5を見ておこう。

(1)コロナショック・サバイバル 日本経済復興計画冨山和彦著(文芸春秋)
(2)検証 財界 中西経団連は日本型システムを変えられるか読売新聞経済部著(中央公論新社)
(3)FACTFULNESSH・ロスリングほか著(日経BP)
(4)ジム・ロジャーズ 大予測 激変する世界の見方ジム・ロジャーズ著(東洋経済新報社)
(5)スマホ人生戦略堀江貴文著(学研プラス)

(八重洲ブックセンター本店、2020年5月17~23日)

1位は前回「破壊的なコロナショック 企業生き残りに必要な心得は」で取り上げた企業再生のプロによる緊急提言の本。2位には、財界の現在を探った新聞の長期連載企画をまとめた一冊が入った。3位は『FACTFULNESS』が再浮上。4位は著名投資家による緊急予測本だ。ホリエモンこと堀江貴文氏がスマホを使って人生を変える知恵と情報と戦略を語った本が5位だった。

(水柿武志)

ゴーンショック 日産カルロス・ゴーン事件の真相

著者 : 朝日新聞取材班
出版 : 幻冬舎
価格 : ¥1,980 (税込み)

誰も知らないカルロス・ゴーンの真実

著者 : レジス アルノー ヤン ルソー
出版 : 東洋経済新報社
価格 : ¥1,980 (税込み)

「深層」カルロス・ゴーンとの対話:起訴されれば99%超が有罪となる国で

著者 : 郷原 信郎
出版 : 小学館
価格 : ¥1,870 (税込み)

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