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スライド式保存袋 「Sサイズ」追加でママの心つかむ

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日経クロストレンド

キッチンで使われることが多いビニール製の保存袋。食材の保存以外の用途でも使うケースが増えている。保存袋には大きく2つの種類がある。1つは、開口部の溝を指で押さえて閉じるフリーザーバッグ。もう1つは、開口部に付いたプラスチックのつまみをファスナーのようにスライドさせて開閉するスライダーバッグだ。

アスクルが運営するECサイト「LOHACO(ロハコ)」では、フリーザーバッグとスライダーバッグのどちらも売り上げを伸ばしている。販売額と数量が多いのは、種類が豊富で単価の安いフリーザーバッグだが、スライダーバッグは伸びが顕著だった。「ロハコでのスライダーバッグの販売額は前年比約120%だった」と開発を当時担当した丹後和志氏(現マーチャンダイジング本部)は話す。ロハコは、フリーザーバッグのオリジナル商品を販売していたが、2013年9月に開発したもので現状のニーズとは必ずしもマッチしていなかった。そのため、丹後氏はこれらを現在のニーズに対応させるためリニューアルすることにした。

まず、他社の商品を分析した。この分野では、旭化成ホームプロダクツの「ジップロック」は知名度が高く、多くの商品を投入している。また家具販売のIKEAのシンプルな柄付き商品も人気がある。こうした他メーカーの商品を調べると、フリーザーバッグでは、サイズや素材の厚さのバリエーションが豊富なのに対して、スライダーバッグは種類が少ないこと分かった。またサイズはM、Lなどと表記されているが、メーカーごとに寸法がばらばらでユーザーにとって分かりにくいという問題もあった。

フリーザーバッグに比べてスライダーバッグの種類が少ない要因の1つに、コストがある。プラスチック部品を付けるため、フリーザーバッグに比べて、製造コストが数円程度上がってしまう。フリーザーバッグとスライダーバッグはどちらも食材などの保存袋としての機能に大きな違いはない。そのため、ユーザーは、より安価なフリーザーバッグを選ぶ傾向があった。半面、スライダーバッグは競合が少ないことから、付加価値を持つ商品を開発できれば市場を開拓できる可能性もある。

商品のニーズを探るため、販売数量が多いフリーザーバッグのユーザーレビューを分析することにした。ロハコに投稿された約750件のレビューから単語を抽出し、それらの関連を示すワードマップを作成した。

子育てでの利用に着目

丹後氏が注目したキーワードは「子供」だった。出現回数が32回と比較的多く、「お菓子」や「おもちゃ」「着替え」というワードと関連しており、用途がはっきりしているからだ。ロハコのユーザーは働く女性が中心で、子供を連れて外出する場合にフリーザーバッグを活用していることが分かる。ママ友同士で会った際、子供のお菓子を交換するといった利用シーンも見えてきた。

当時のフリーザーバッグには、花の線画をプリントしていた。これに関連して「柄」や「デザイン」というワードの出現回数はそれぞれ125回、214回と多かった。これらは「可愛い」「素敵だ」と評価されていることから、柄が購買を左右すると推測できる。

一方、サイズについてのレビューからは潜在的な不満が垣間見えた。「サイズ」というワードの出現回数は138回で、「使いやすい」「良い」と評価する声がある半面、「違う」「大きい」と否定的とも取れる言及もあった。M、Lの2種類のサイズがあったが、Lサイズに関しては「残る」という意見が見られた。一方、Mサイズに関しては「買う」「嬉しい」と評価されていた。Lサイズは大きすぎて、Mサイズは適切と感じていると考えられる。「お菓子の小分けなどに適したSサイズがあれば、満足度が高まる」と丹後氏は考えた。

利用シーンの調査にInstagramを活用

子育てでの利用は、丹後氏にも経験があった。「自分の子供がフリーザーバッグにものを入れて閉めようとしてうまくできなかった場面を思い出した」(丹後氏)。フリーザーは溝を合わせるのにコツが必要だが、それが子供には難しい。それに対して、つまみを動かすスライダーバッグは、幼い子供にも開閉が容易だ。マップにも、「ジッパー」に対して「使いやすい」と言及する例があった。

さらにこの点を検証するため、子育て中の社員にお願いして、子供がフリーザーバッグを開閉できるか試してもらった。すると予想通り、「開け閉めが難しい」という声が多かった。

丹後氏は、利用シーンをさらに具体的に調査するため、Instagram(インスタグラム)の画像を活用した。フリーザーバッグやスライダーバッグを写した、約1000枚の画像をチェックし、それらに寄せられたコメントも読み込んだ。その結果、ワードマップの分析で得た仮説を裏付けられたほか、「用途によって1人で複数のサイズを使い分けている」「収納した日付や内容を書き込みたい」という気づきを新たに得た。

用紙サイズに合わせてバッグを設計

こうした調査の結果を生かし、新商品では従来のサイズにSサイズを加え、柄として子供にも理解しやすい動物の柄をあしらうことにした。最終的には、幅広い用途に対応するため、フリーザーバッグ、スライダーバッグともにマチ付き、無しの2種類を用意し、サイズはマチ付きがM、Lの2種類、マチ無しがS、M、Lの3種類とした。

動物の柄は、半円や三角形などの図形を組み合わせた面で表現することで、白い部分にペンで文字を書き込めるようにした。従来のバッグには、書き込み欄として四角いスペースをプリントしたものが多い。それに対して、書き込み欄を柄としてデザインすることで、かわいらしさを求めるニーズに対応した。さらに、子供にも理解できる動物にすることで、親が「カメさんの袋におもちゃをしまおうね」などと伝えられる効果もある。

サイズについてはメーカーごとに寸法が統一されていないという問題があり、購入する際の不満点となっていた。この問題を解消するため、用紙サイズに合わせて設計した。具体的には、マチ無しのLはA4用紙タテ、MはA5用紙タテ、SはA6用紙タテ、マチ付きありのLはA4用紙ヨコ、MはB5用紙ヨコがそれぞれぴったり入るサイズに設計し、ECサイトでもそれを明記して、分かりやすくしている。

バッグを入れるパッケージも工夫している。競合商品が売り場で存在感を出すため、大きくロゴをレイアウトした派手なデザインなのに対して、ECのロハコでは、生活の場になじむデザインが可能であり、ユーザーもそれを求めている。今回はクラフト紙を使ったシンプルなパッケージにして、他のキッチン用品とも統一した。

新商品は20年1月29日に発売。他社商品と比較して販売数は約5倍と好調だ。特に今回追加したSサイズのスライダーバッグが売れているという。ワードマップで分析した仮説が裏付けられたことになる。ロハコでは2月7日から3月19日に新商品のレビューキャンペーンを実施した。約90件のレビューが集まり、そのうちSサイズについては30件の投稿があり、パッケージやバッグのデザインの良さやスライダーバッグが開け閉めしやすい点を評価するコメントが多かったという。

今回、丹後氏は主要なターゲットを子育て中の主婦に設定した。実際に購入者の約8割が女性で、その半数が子育て中だった。想定通りのターゲットに売れていることが分かる。年代別に見ると、「30代からシニア層まで、幅広い年代に支持されていた」と丹後氏は話す。シニアについては、「複数の薬を仕分けしたり、介護の現場で活用したりしていることがレビューから分かる」(丹後氏)。想定していなかったシニアにまでユーザーが広がったことが、販売の底上げにつながっているという。

(ライター 中村仁美、日経クロストレンド 太田憲一郎)

[日経クロストレンド 2020年5月20日の記事を再構成]

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