さらに進化する次世代アイサイト

大音 アイサイトは今後どうなっていくのでしょうか?

丸山 昨年「東京モーターショー2019」で発表した次期型レヴォーグに、次世代アイサイトを搭載すると発表しました。

進化点としては、まずカメラの広角化によってセンシングできる範囲を広げます。さらに車両前方に二つのレーダーを追加し、単純な追突だけでなく、右左折時や出合い頭の衝突など、より複雑な事故シナリオも防げるようにしていきたいと考えています。

さらに高速道路上においてカーブで自動的に減速させる機能や、ウインカーレバーを操作するだけで自動的にレーンチェンジできる機能を追加します。これはステレオカメラと高精度地図、GPSや準天頂衛星「みちびき」からの位置情報を組み合わせることで実現します。

レーンキープ機能も進化させ、渋滞時に限ってステアリングから手を離しておけるハンズオフアシスト機能が加わる予定です。自動運転のレベルでいうと次世代のアイサイトは、あくまで人間のサポートに徹するレベル2となる予定です。

編集部 レベル3には行かないんですか。

丸山 もし(システムが部分的に運転主体となる)レベル3を実現しようとすると、システム全体が二重系であることが必要になります。その分高価になり「買える価格で最大限の機能を提供する」という我々の考えから外れてしまいます。ですから、まずはレベル2の範囲でできることを増やし、多くの人に使ってもらうことを目指しています。安全技術は普及してはじめて事故を減らせるものですから、価格にはこだわっています。

大音 最後に、丸山さんからみてのアイサイトの魅力はどこでしょうか?

丸山 実際に路上で役立つ機能であることですね。過去のデータですが、アイサイトVer.2を搭載したクルマとそうでないクルマを比較すると、(搭載車は)追突事故が84%減、人身事故が61%減という結果が出ました。今は基本的に全車に装備されているので、違いを比べることができなくなってしまいました。

また技術者としては、作動の滑らかさと違和感のなさにこだわっているので、そこは強みかなと思っています。今度出る次世代アイサイトは、さらに良くなるのでご期待ください。

東京モーターショー2019で発表された次期型レヴォーグのプロトタイプ。さらに進化したアイサイトを搭載する予定

技術者の信念が普及を後押し

今やスバルの看板のひとつといえる「アイサイト」の開発が消滅の危機に瀕していたのは意外だが、それだけ先を見据えて早くから取り組んできた証ともいえるだろう。アイサイトは、精度の高い安全機能を10万円という現実的な価格で提供し、国内での衝突被害軽減ブレーキの普及にひと役買った。

だがアイサイトがここまで普及した理由は価格だけではないだろう。長距離ドライブを助ける「ツーリングアシスト」や、違和感のない車両制御の作り込みなど、技術者の走りに対する思いが、走りにこだわるスバルファンや、本物志向となった消費者の心にも響いたのではないだろうか。よりアシスト機能が増える次世代アイサイトがどんな味付けになるのか、今から楽しみだ。

大音安弘
1980年生まれ、埼玉県出身。クルマ好きが高じて、エンジニアから自動車雑誌編集者に転身。現在は自動車ライターとして、軽自動車からスーパーカーまで幅広く取材している。自動車の「今」を分かりやすく伝えられように心がける。
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