泉「定番のビッグケースは17mm~18mmほどです。こちらは11.8mmとアナログとデジタルのコンビでは過去最薄です」

――これならビジネススタイルにも合いそうですね。
泉「ビジネスに合わせることを意識して、樹脂で覆うタイプではなく、外装パーツをメタルにしたラインを強化しています。Gショックは派手なので今まで着けたことがない、といったお客さまにも手に取ってもらえるようになりました」
――仕事の装いは今後、ますますカジュアル化が進みそうです。Gショックには追い風でしょうね。
泉「はい。以前は、Gショックを着けて会社に行くのはさすがにダメだろう、と考える方も多くいたようです。でも、職場のスタイルが多様化して、今は逆にGショックが『ハズしのアイテム』として使われることが増えましたね」
石津「コロナ禍で巣ごもりしている人たちは今、アウトドアライフに憧れるているはずです。これが収束すれば、広い意味でのスポーツ時計が生活スタイルに浸透していくでしょう。でもね、カシオさんなら、これが時計なの?って驚かせるようなものを出してほしいよね。そこまでしないと、時計の需要をスマートフォンに持って行かれてしまう」

スマートウオッチへの対抗策は
――時計ブランドでもスマートウオッチを投入する企業が増えていますし、アップルウオッチもライバルでしょうね。
泉「数年前から時計市場をスマートウオッチが侵食し始めています。時計は、技術の進化という点では踊り場にきていると思います。では、次に進むべきステップは、といえば、当然ながらテクノロジー以外の部分になるでしょう。たとえば本体への加飾技術に凝り、Gショックならではのカラーリングや模様を施したラインアップを仕込んでいるところです」
――昨年発表した商品群でも、レーザー加工でメタルに迷彩柄を施すなど「CMF」(カラー、マテリアル、仕上げ)にこだわっていましたね。
石津「でもね、もう、腕時計の観念から離れてもいいんじゃない。僕は車がガソリンから電気に変わったのに、相変わらずガソリン時代の車の形を引きずっていることに疑問を乗っています。時計はもう、腕からも離れて、ボタンを押せば壁にも手のひらにも投影できるとか、首に付けるとか、ぐにゃぐにゃ曲がるとか、方向性を変えていってほしいよね」