――そうしたデジタル時計の延長線上に、耐衝撃性を持つ樹脂の“防具”を着たGショックが生まれました。ロックミュージシャンのスティングが着用して人気が出た「スティング」モデルも有名でした。

「スティングモデルとファンに呼ばれたのはDW-5700という87年に売り出した丸型モデルです。Gショック発売35周年となった2018年に、原点回帰ということで復刻しました。35周年はさまざまなスペシャルモデルを発売し、すべて金で作った、世界限定35本、770万円という過去最高額のGショックも出しました」

石津「豪華な時計とGショックとが一緒になっちゃったわけなんだね。でもそっちの方向に行きだしたらだめ。Gショックは機能で競争してほしい」

「さすがに770万円は飛び道具です(笑)」

Gショックはキルティングのジャケット

――その機能は37年の歩みでどう進化してきましたか。

「ファッション、スタイルといった側面でブレイクしたブームも、90年代後半には落ち着きました。そこから一段の技術革新に取り組み、より正確な時間を刻もうということで、ソーラー充電や全地球測位システム(GPS)・電波受信機能の搭載、スマートフォンとの連携機能などを進めています」

90年代半ばから大人向け新シリーズ「MR-G」を展開。フルメタルと耐衝撃性能を両立した「MRG-100」(1996年)
耐衝撃・耐遠心重力・耐振動性能を装備した「GW-4000」(2012年)など2000年代は機能と性能を進化させている

――ヘビーデューティーという点では。

「全モデルに20気圧防水を搭載しています。また、過酷な環境下での使用を想定した商品群では、耐遠心力だったり、ボタンから泥がまったく入らない構造だったりと、構造面での技術革新を進めています」

石津「ファッションでいえば、Gショックはキルティングのジャケットのようなものだな、と思います。洋服の場合、外からの衝撃はあまり考えないけれど、気温や風、水から体を守ることを考えて機能が進化しますよね。キルティングジャケットは表地がコットンから防水素材へ、中綿はダウンからハイテク綿へと変わり、結果として高機能ジャケットになっていった」

――今はファッションで素材と機能の開発がもっとも重視される時代です。

石津「もう、見かけだけの流行はほぼ消えて、しばらくは機能競争になるでしょう。服よりも時計のほうがはるかに機能競争をやってきた。コロナショックを経て、時計に求められるニーズがさらに多様化していくでしょう」

――次回はGショックの最新事情についてお聞きしましょう。

(聞き手はMen's Fashion編集長 松本和佳)

石津祥介
服飾評論家。1935年岡山市生まれ。明治大学文学部中退、桑沢デザイン研究所卒。婦人画報社「メンズクラブ」編集部を経て、60年ヴァンヂャケット入社、主に企画・宣伝部と役員兼務。石津事務所代表として、アパレルブランディングや、衣・食・住に伴う企画ディレクション業務を行う。VAN創業者、石津謙介氏の長男。

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