みなさんは何等級にあたるでしょうか? たとえば、報酬月額が30万円の人は、健康保険では「22等級」、厚生年金では「19等級」の区分になります。
先述しましたが、通勤手当も保険料の算定に加算されるので、遠方から通勤している交通費の高い人は、思ったよりも高い等級に区分されているかもしれません。この標準報酬月額を基に計算された保険料が、その年の9月から翌年の8月まで適用されることになります。
つまり、4月から6月の給料で、同年9月から翌年8月までの社会保険料が決まっているのです。この時期に多くの残業をして残業手当を受け取ると、社会保険料が上がる可能性もあります。
休業などで給料が大きく変わると保険料も変更に
ただし、給料が大きく変動して、標準報酬月額の等級が「2等級」以上変わる場合には、1年を待たずに、4カ月目から等級が変更されます。
たとえば、今回のコロナウイルスの影響で、勤め先が休業し、1カ月あたりの収入が普段の6割になった場合、2等級以上変わる可能性があります。
あくまで1つの例ですが、月収30万円の人が、2月は普段通りの月収30万円、3月、4月と5月は休業となり、休業補償が30万円×60%=18万円 となった場合。標準報酬月額は、(18万円+18万円+18万円)/3=18万円 となり、健康保険の等級は「22」から「15」に、厚生年金の等級は「19」から「12」に下がります。
2等級以上の変更ですので、1年を待たず、(通常なら前年4月から6月で算出した等級が8月まで適用されるところ)6月から等級が変更され、社会保険料も変わります。協会けんぽの東京都の場合で、健康保険料は1万4805円から8883円に、厚生年金保険料は2万7450円から1万6470円になります(自己負担分、2020年度40歳未満の人の場合)。
ちなみに、6月以前に改定された場合は再び改定がない限りその年の8月まで適用され、7月以降に改定された場合は翌年の8月まで適用されます。
働き方によって社会保険料が変わることも
休業期間が終わり、給料が元に戻る場合も、上と同様に計算されます。直近3カ月の報酬から算出される「標準報酬月額」が2等級以上変われば、4カ月目から等級が変更されます。
先述しましたが、標準報酬月額は、通勤手当や残業代も含めて算出されています。
今後、テレワークを活用する企業も出てくるでしょう。通勤手当は1カ月ごとに支給されていましたが、テレワークが進めば、出勤日ごとに支給される可能性もあります(通勤手当は、法律で定められておらず、それぞれの会社の就業規則によって定められています)。基本給は下がらず、通勤手当や残業代が減れば、社会保険料も減る可能性があります。
自宅待機している新入社員の場合はどうなる?
4月に入社したものの、自宅での待機を指示されている新入社員もいるかもしれません。自宅待機であっても、健康保険、厚生年金、雇用保険に加入することに変わりはありません。同じく、給料、あるいは休業補償などから「標準報酬月額」を算出し、保険料率をかけます。通常の給料よりも少ない場合は、それに伴って社会保険料の負担も少なくなります。
会社によっては、4月の初任給からは健康保険料や厚生年金保険料を天引きせず、5月にまとめて天引きする場合があります。加えて、会社に勤めて1年目は住民税の支払いがありません。4月の初任給は手取り額が多くなっていますので、使い過ぎに注意してくださいね。