名医の技、AIで現場に 起業家になったドクターアイリス代表取締役 沖山翔氏

医療をITで変えられないかと考えた沖山氏は15年に医療ベンチャー、メドレーに入社。17年には自らアイリスを立ち上げた。第1弾の事業として、AIによるインフルエンザ診断支援装置の開発に取り組む。画像解析のアルゴリズムを活用することで、匠の医師の目を再現できると考えた。

コロナとインフル区別したい

インフルエンザ濾胞などの大量の画像データを収集・分析。濾胞以外にへんとう腺など関連の画像も加え、既に30万枚の画像データを集めた。さらに体温や倦怠(けんたい)感など医師がインフルエンザ診断に用いる症状や情報もプラスして診断精度を上げる工夫を進めている。沖山さんは「多くの名医の技をAI技術で再現したい。大量の画像を集め、深層学習させて診断支援に活用すれば、専門外の症状や病気を見る医師をサポートする存在になる」と語る。今後、臨床試験を進め、承認申請を目指す。

経営者として多忙な日々のかたわら、臨床でも活躍する沖山氏

現在、コロナがまん延しているが、似た症状である感染症のインフルエンザの診断精度が向上すれば、コロナ感染の検査にもプラスになる。「冬になったらインフルエンザが流行し、新型コロナ感染症と見分けがつかなくなる。その中で、(この患者が)インフルエンザだと区別することの重要性は高い」。将来的にはコロナに対しても、AIによる画像診断装置が開発できるかもしれない。

もちろん感染症以外の分野にもAIを活用した画像診断支援は威力を発揮する。内視鏡で消化器など様々な部位の画像を収集・分析できるし、磁気共鳴画像装置(MRI)やコンピューター断層撮影装置(CT)など画像を撮る検査装置は年々進歩し、画像度は格段にアップしている。

アイリスには現在、医師3人を含む27人の社員がいる。医師のほかエンジニアや元官僚、法律関連のスタッフなどをそろえ、AI医療機器の開発に取り組む。19年には塩野義製薬と資本業務提携を結び、12億円の出資も受けた。

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