35歳が老後に受け取る年金額は 正しく知って準備する『35歳から創る自分の年金』

続く第5章では、豊かな生活を維持するための資産運用について考えます。公的年金の弱点をいかにして資産運用で補うかがポイントになります。ここでは確定拠出年金や、つみたてNISA(積み立て型の少額投資非課税制度)などについて活用の仕方を説明していますので参考にしてください。

持続可能な制度になるのか

まとめとして、著者は若い世代のビジネスパーソンに年金制度への関心を高めてほしいと訴えています。そして公的年金制度を持続可能とするためには(1)マクロ経済スライドの無条件適用 (2)厚生年金加入者数の増加 (3)65歳までの加入年齢の延長――が有効だと主張します。また、少子化対策の充実も当然ながら考えていかなければなりません。

カギを握るには女性の働き方の変化に対応して、私たちの年金に対する意識を変えることだと著者は指摘します。実は著者は、世帯収入の多き共働き世帯は、社会保険料の負担も多いため、どちらかというと年金の「支え手」側に回っていることに不満を感じていたと明かします。しかし、制度についての研究を進めるうちに著者の考えは徐々に変わってきたそうです。子育て支援や両立支援策によって、共働き世帯の生活も充実してきているという事実により注目するようになったのです。

 数々の支援を受けながら子育てが大変な時期を乗り切ったら、今度は私たちがたくさん保険料を納める番だ――そう思うと、私たちが年金の「支え手」側に回ることに悪い気はしません。お互いに支え合いながら、より豊かな未来を目指していく、政府が思い描く「全世帯型社会保障」とはこんな姿なのではないでしょうか。
(おわりに 243ページ)

◆編集者からひとこと 日本経済新聞出版・網野一憲

「実は、自分も年金の将来については悲観的だったのですが、あることをきっかけに変わったんですよ」――打ち合わせ中に是枝氏が言われた一言でした。

あることとは、久しぶりの高校の同窓会で、同級生の女性がみな結婚しても仕事を続けているという事実を知ったこと。是枝氏自身、共働きで、育休も取って夫婦で子育てをし、本人いわく「積極的に家事もして」います。

年金計算のモデルは妻が専業主婦など、いくつかの条件があります。その前提条件を変えて、夫婦が働き続ける場合をシミュレーションしてみると、実はけっこう豊かな老後が期待できる。結婚はしなくても生活をともにするパートナーがいれば全然状況は違ってくる。さらに資産運用を上手に組み合わせると、悲観する必要はない……。

こうして、是枝氏が65歳になる2050年を見据えたとき、今から出来ることがたくさんあることがわかります。まさに年金は自分で創ることが出来る――彼と親しいあるFPも「是枝さんはすっかり考え方が変わったんですよ」と後日、話してくれました。

一日に数百冊が世に出るとされる新刊書籍の中で、本当に「読む価値がある本」は何か。「若手リーダーに贈る教科書」では、書籍づくりの第一線に立つ出版社の編集者が20~30代のリーダーに今読んでほしい自社刊行本の「イチオシ」を紹介します。掲載は原則、隔週土曜日です。

35歳から創る自分の年金

著者 : 是枝 俊悟
出版 : 日本経済新聞出版
価格 : 1,650円 (税込み)

ビジネス書などの書評を紹介
注目記事
ビジネス書などの書評を紹介